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第53章 最期

悔しいんだ？


っ。。。

悔しいっ。。。何で、私から、とるの？


確かめに行こう？


直樹は、平気なの？


何で？


だって。。。
直樹も、自分のものをとられるのが悔しいんでしょう？


よく、わかってるじゃん？

人のものは、とるけどな？

一緒だろ？似た者同士なんだから。。。


そうね。。。


じゃあ、17時にな？


わかった。。。


ふれるだけのキスをする


髪をさわりながら聞いてくる


やっぱり、帰る？


っ。。。

帰るよ。。。？


素直じゃないな？


どうせ、可愛くないわよ。。。？


後でな？

じゃあな？


またね？


別れ際に、顔を隠して抱きしめてくる


泣くなよ。。。？


無理ね。。。


詩織は、すぐに泣くからな？


じゃあな？


私から離れて、歩いていく

後ろ姿をみていると、切なくなる


直樹。。。


小さな声で呼ぶ


聞こえないはずなのに、後ろ向きに手を振ってくる


バカ。。。


私も、歩き出していく

呼ばれた気がして振り向くと、直樹が見ている

口が、何か言っている


わからないふりして、ばあかって言ってやる


あれは、絶対に私をからかってる。。。


私達はよく似ている

だからか相性がいい

近づきすぎると壊れてしまう。。。

どんなに、傷つけられても許してしまう

嫌いになれない私がいる

どんなに、嫌な女を見せても私を嫌いにならない

欲張りな私達は、結ばれることはない

キスもセックスも、体の一部みたいになっていて、全く罪悪感がない

そのくせ、自分のパートナーが他の誰かを抱きしめているかもって考えただけで、許せない

何て、勝手なんだろう。。。


歩道橋の上から見る景色はかわらない

違うのは、直樹が一人でいることだけだ。。。


何かが引っかかる。。。

何だろう。。。？

壊れたパズルが、直るみたいに、動き出している気がする


大事な何かを忘れている気がする。。。


電話が鳴る


何？


詩織、この後は仕事に行くの？


行かないよ


暇なくせに、別れた？


直樹は仕事でしょう？


なあ？


何？


しようよ？


ばあかっ。。。仕事行きなさいよ？


シタイ顔をしてるよ？


何を？


さあな？


ふふっ

ダメよ？