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Vesica Pisces
第10章 太陽は静寂を包む
時間が惜しい。

たった1分でも出来ることがあるのに。

俺だけかよ


✳︎ ✳︎ ✳︎

到着したのはまだ午前中だった。

伽耶に帰国を知らせて直ぐにでも逢いに行こうと思ったけれど、到着ロビーで待ち構えていたのは諸々の管理を任せているマネージャーだった。

向こう三ヶ月のスケジュールやら、ギャランティの話しがあるとかでそのまま会社に連れて行かれた。

ギャランティの事は兎も角、スケジュールをみて開いた口が塞がらない。

「そうちゃん、これは何かな?」

明確な休業期間を設けているわけではないけれど、春から夏にかけては毎年そこそこ暇になる。

なのに、今年に限ってその期間の前半にみっちりスケジュールが組まれている。

マネージャーの浅井 創一は得意げにスケジュールの中身を説明し始める。

主なのはスポンサーへの挨拶周りと、関連広告媒体への露出。

「新規スポンサーの開拓は後輩たちの為にもやるべきだよ」

「やらないとは言ってない、ただパーティーとかはやだ」

「顔出すだけだろ」

面倒な挨拶や説明は創一がしてくれるのもわかっている。

それでも渋るのはスポンサーが好意的な人ばかりでないことを知って居るからだ。
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