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Vesica Pisces
第15章 太陽は静寂を超える
コーヒーカップを手にした侑一は、一口飲んで口を開いた。

「先週会ったのって彼氏?」

『はい』

少しだけ目を見開いたけれど、直ぐに次の言葉を繋いだ。

「水嶋 透だよな?」

『知ってるの?』

「まあ、俺もスノボくらいやるし…それにアメリカだとプロとして成り立つ職種だからな、こっちよりは有名だよ」

侑一はコーヒーを持つ手がゆらゆらと揺れる、それは何かを隠している時の癖だ。

『それだけなら戻ります』

「ちょ、んー、これ、知ってるのか?」

侑一が翳したスマホの画面にはベッドで眠る男性に頬を寄せる女性。

女性は知らないけれど、男性は見間違えるはずがない、透だった。

「今海外なんだろ?こういう奴だって知った上で付き合ってんのか?」

目の前で挨拶のキスやハグを見たこともある。

「さっきの電話も女だったぞ」

侑一が嘘をつくメリットはない。

『ありがとうございます、でも目を合わせない人は信じてないので、彼はいつも私の目を見てくれる、この透は透の意思で撮られたものじゃないと思います』

「じゃあ電話は?」

『何でしょうね?透の事だから、ケガ…「伽耶?!」

パントリーに飛び込んで来たのは和可菜だった。

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