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Vesica Pisces
第18章 太陽は静寂を誘う
小さな紙袋を提げて、やっぱり靴が気になった。

プレゼントなんて柄じゃないけど、こういう時くらい良いだろう。

シューズフロアに向かう途中、ウェディングフェアの催しを見かける。

真っ白なウェディングドレスがいくつも並んでいて、それに合わせたブーケやら、小物やら。

カラフルなドレスもあって、その柔らかな生地に触れて見た。

伽耶なら、どんな色が似合うだろうか。

通路を縫うように歩いていると、1つのコルクボードが目に入った。

「へぇ…」

思わず感嘆して、さっさと踵を返した。

買い物をし終えて家に戻ると同時に電話が鳴る、猛からだ。

「猛、近いうちにこっちに来る予定ある?」

身体の事を聞いてきた猛の口調が厳しくなりそうになると、とっさに話を変えた。

〝月末あたりに、何かあるのか?〟

「俺、伽耶と結婚する、から…改めて挨拶したい」

息を詰めて、沈黙する猛。

「…聞いてんの?」

〝…っ…聞いてるよ!分かった…時間作るから〟

鼻をすする音になんだかむず痒くなって、電話はそれで終わった。

「はぁー…」

大きく息を吐いて、ソファーに沈んだ。
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