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禁煙チュウ
第9章 はじめて その2
首への愛撫に気をとられている間に、するり、と手が服の裾から入って来た。
「ぁっ……」
大きな手がお腹を、脇腹を、撫でる。
暖かい掌。肌の感触を確かめるように動く指。

「……すげー熱い、石井のカラダ」
宮田さんがおでこをわたしの肩に預けて下を見る。
つられて見ると、ほとんど服の襟ぐりから出てしまったわたしの裸の肩と胸の膨らみが見える。
宮田さんの体を挟んだわたしの立てた太ももも、布団の中でぼんやり白く浮き上がって見える。

カッと頬が熱くなった。
見えすぎ!
わたしは上半身を無理やりひねって枕元の間接照明のスイッチを探した。

「あっ、ちょっと」
パチン。
宮田さんの制止に構わず灯りを消す。
もう多分外は明るいはずだけど、遮光カーテンのおかげで部屋は真っ暗になる。
「なに、恥ずかしい?」
耳元で囁きながら、暗闇の中で宮田さんが手を背中に滑らせる。
見えなくなって敏感になったのか、それだけでゾクゾクと淡い官能が肌を駆ける。

うー。ずるい。
経験からくる宮田さんの余裕ぶりが見えて、悔しくなる。
「見えないから脱がしても平気だな」
そう言うと、すす、と背中にあった手が服を捲り上げていく。
「あ、やっ……」

わたしの声に手が止まる。
闇の中で宮田さんがふっと笑う気配。
「やだ? じゃあこのまま?」
ちょうど胸の横まで来ていた手が前に滑って、やんわりと裸の胸を掴んだ。
「……っ!」
わたしは肩をすくめて身を固くした。
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