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17歳の寄り道
第1章 【碧編】17歳、白川碧
村上先生が感じ悪いのはいつものことだ。
気にも留めずに帰り支度をして、高校を出る。

少し歩いた先には公園があり、私はいつもそこの木陰に自転車をとめていた。

自転車通学は禁止されているが、電車で通うのも難しかったし、バスも通っていないルートだったので、消去法で自転車の選択肢しか残らない。

その日は私の自転車の隣に、黒い自転車が置いてあった。
誰だろうと気になりながらも、遭遇することなく数日が過ぎて行った。



「碧ー、学食行く?」

体育が終わった後、千晴に声を掛けられる。
4時間目の体育はお腹がすく。

「私、お腹鳴ってた」と言うと、隣で話を聞いていた東野君に吹き出された。
聞かれていたとは恥ずかしい…と思っていると、「おれもすげー鳴ってたよ。一緒」と言われた。
いい人だ。

「ほんと優しいよね、東野君」と伝えたら、東野君の顔が少し赤くなったように見えた。

千晴が私の肩を叩き、小声で囁く。

「モテるねぇ、碧」
「モテてないよ、東野君彼女いるんでしょ」
「いてもだよー。あの様子じゃ碧の事好きでしょ。碧の事好きな奴多いもんね~」

そうかなぁ。本人にモテる自覚はない。
それなりに告白もされたけど、お付き合いはできないような感じばかりで…

それなら、美人の千晴の方がモテている。
彼氏がいるのに他科の子や、先輩からも告られてるの知ってるもん。

「女子少ないから、無邪気には喜べないんだよね…。男子校マジックっていうか」
「それはわかる」

ふふっと笑い合いながら、教室に戻った。


校舎も男子校だった当時のままなので、女子更衣室はない。
男子たちの着替えが終わったら、教室を私たちだけにしてもらってそそくさと着替える。

最初の頃は慣れなかった。覗かれているような気がしたからだ。
今は、覗かれたとしても大丈夫なように工夫をしながら早着替えが出来るまでになっていた。
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