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第44章 遅かった

「じゃあ、理人抱いて」


はあ…心の中で溜め息が出る。


今日はいくらなんでもそんな気にはなれない。


「疲れてるから」


そう断ると、由香は抱きついていた腕を強くした。


「理人は私を好きじゃない！私は理人がこんなに好きなのに！」


ちょっとヒステリックになってきた。


「はっはっはっ…」


由香は息が荒くなりうずくまる。


ヤバい。


「…理人…苦しいよ…息が…」


「大丈夫だから、落ち着いて」


俺はしゃがんで由香の背中をさすった。


こうして落ちつかせるししかない。