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蝶が舞う時
第8章 美咲
二人分のパスタランチが運ばれてきた。

菜採はなかなか戻って来ない。

窓の外の人混みを眺めていた時、スマホのメールの着信音が鳴る。

なみりん「おじさん、友達を連れていっていい?」

黒やぎ「誰なの?」

なみりん「ネットカフェで知り合った女の子。」

俺は少し嫌な予感がした。

なみりん「おじさん、いい?」

菜採の手前、ダメとも言えず

黒やぎ「ああ、いいよ。」

なみりん「じゃ、戻るね!」

しばらくして、菜採は一人の女の子と一緒に戻ってきた。

「おじさん、ごめんね。この子は美咲ちゃん。おじさんと知り合う2日前にネットカフェで友達になったの。」

「その頃菜採はお金が無くて、美咲ちゃんは菜採の分までお弁当やパンを買ってくれた。」

店員が来たので、

「美咲ちゃん、ちょうどランチを食べるとこだけど、もし良かったら一緒に食べないか?」

美咲は下を向き、恥ずかしそうに頷く。

店員を呼び止め、ランチを一人前追加した。

「美咲ちゃん、失礼だけど年は幾つ?」

「17歳…です。」

「じゃ、高校生かな?」

美咲は首を振り、

「去年、中退しました。」

追加のランチが運ばれてきた。

「とりあえず、食べよう。」

俺がフォークを取り、パスタに手をつけると、二人も食べ始めた。

俺は食べながら、美咲を見つめる。

(菜採と同じで、この美咲も比較的童顔な様相。)

(ネットカフェ住人とすれば、この子も家出か?)


この後の展開が自ずと見えてくる…

食べ終わる頃、食後のコーヒーと紅茶が運ばれてきた。

菜採が話を切り出す。

「おじさんと出会う前日、美咲ちゃんと出会いサイトを調べて、菜採だけが翌日掲載した。」

「美咲ちゃんは反対したけど、お金が無くて美咲ちゃんに迷惑を掛けたくなかった。」

「美咲ちゃんは今でもネットカフェに?」

「今朝、出ました…お金が無くなって…」

「どうしてネットカフェに?」

「学校でのいじめが酷く、耐えられなくなって、両親に相談して退学しました。」

「その後家にずっと引きこもってたら、両親との喧嘩が絶えなくなり、最後には出て行けと…」

「貯金を全額持って来たけど、無くなって…」

「今朝、菜採さんが掲載したサイトに掲示して、今から知り合った人と待ち合わせを…」



危惧した通りの展開に俺は頭を抱えた…
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