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蝶が舞う時
第3章 条件
マンションに到着するとそのまま車を地下駐車場へと進めた。

エレベーター近くの駐車枠に車の停止させ

「さぁ!着いたよ。」

俺が先に車を降りるのを見て菜摘は助手席から降り、後部ドアを開けてキャリーケースを取り出した。

エレベーターのあるドアを開き、暗証番号を入力してエレベーターを呼び出した。

このマンションのセキュリティーは完璧

降りてきたエレベーターに乗り込むと暗証番号をして12階を押す。

「最上階なんだ。」

菜摘は階層標示のモニターをじっと眺めていた。

エレベーターが停止し、ドアが開くとグレーのカーペットが敷き詰められた通路が続く。

「一番奥だから…」

静かな通路で菜摘が引くキャリーケースの音が反響する。

「ここだから」

カードキーをかざしてドアを開け菜摘を誘う。

「遠慮しないで入って。」

見慣れた部屋に帰り着いた。

菜摘は何処に居れば良いのか戸惑っている。

「そっちのリビングのソファーにでも座っていて。」

俺はキッチンに向かい、何か飲む物の準備を始める。

「菜摘ちゃんはコーヒー? 紅茶?」

「あのぅ…紅茶で…」

「了解。」

素早く紅茶とコーヒーを作り菜摘の所に向かう。

紅茶を菜摘に差し出し、俺はコーヒーを一口含んでから煙草に火を点ける。

「あ、ごめんね。おじさん煙草吸いだから…」

菜摘は軽く首を横に振る。

「お父さんも吸ってたから…」

それから暫く二人とも無言状態が続いた

「おじさんの部屋は殺風景だろ?」

「独り住まいなので余り必要な物が無くて…」

菜摘は部屋中をゆっくりと見渡す。

リビングにはソファーと低いテーブル、それに50インチのTV とデスクトップパソコンのみ。

「おじさん…ちょっと横になって良いですか?」

「どうしたの?具合が悪くなった?」

「いえ… ずっとネットカフェで暮らしていたので…」

「ずっとって どれくらい?」

「一週間…」

そりぁ無理もない、よくまあ一週間も居たものだ。

「じゃ、暫く隣の部屋のベッドで寝とくといい。」

「ここで構いません。」

「ここだと寝れないし、風邪引くから」

「着替えの服はあるの?」

「トレーナーなら…」

「じぁ、隣の部屋で着替えてベッドに寝なさい。」

「すみません…」

菜摘はキャリーケースを持って寝室へと向かった。

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