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君を好きにならない
第7章 攻められました
《Bar slow》


「分かるわよ?
司ちゃんの気持ちも
分かるけど…
何かあったって
決まったわけじゃないんだし
ちゃんと話聞いてあげたら?」


「聞きたくねー。
天然なあいつのことだ
どんな話すんだか…
絶対聞きたくねぇよ
真琴が攻められてる話とか」


「ほんと
子供みたいなんだから。
司ちゃんの
そーゆーとこ
嫌いじゃないけどさ
このままってわけにも
いかないでしょ?

それに…

真琴ちゃんはフリーなんだから
もし何かあっても
仕方ないじゃない。

司ちゃんも若い時は
今夜だけの相手が
いたこともあったでしょ?」



「……」



「まぁ…

それが
今は許せないって気持ちも
わからなくはないけど。

もう…


奪っちゃうしかないわね」



「そうしたいのは山々だけどな
真琴が小説書き上げるまでは
やっぱ無理だよ」



「じゃ

許すしかないわね。

そして
何が何でも
アパートに帰らせないこと。


とにかく

真琴ちゃんの話を
ちゃんと聞くこと」



「あぁ」



「さ、もう今日はこれでおしまい。
毎日来てくれるのはうれしいけど
あたし
司ちゃんのそんな顔見たくないの」



オネェは
俺のグラスを下げてしまった


「なんだよ
せっかく来てやってんのに」


俺は
金をテーブルに置いて席を立ち
出口に向かうと
背中からオネェの声が聞こえた


「大丈夫よ」



オネェは
ほんといいやつで

アイツが居なくなった時も
ボロボロの俺に
最後まで
付き合ってくれたっけ



「あの時より

ヒドイことには
ならないわよ」




「……」




「ダメなら

また慰めてあげるから」




俺は
オネェに背中を向けたまま
右手を上げて見せて
slowを後にした
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