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君を好きにならない
第11章 一筋の涙

「そんな顔・・しないで下さい」



俺・・

どんな顔してるんだろう



「いつから…気付いてた」



「…やってもらった時から」



「そうか。

…そうだよな」



あの日の夜
寝たふりした俺に言いたかったのは
この事だったのかもしれない



「…慣れてる感じ…だったし

僕みたいに
女が好きだったら多分
握ることも
できないと思うし…」



真琴の言う通りだ

真琴は女が好きだと知ってたら
俺だって
あんな事はしなかった


俺は
真琴に合わす顔がなくて
また少しうつむいた


「あの時は…悪かったな」


「そんな…
僕がやって欲しいって言ったんだし
あのおかげで
納得のいくもの書けてるし
感謝してるんです。
向井さん…
そんな風に言わないで下さい」



シュンとした真琴の声


シュンとすんのは
俺の方なのに



「ありがとな。
救われるよ」



「もう
いつもの向井さんに戻って下さい。
お願いします。
これからも
僕は何も変わりませんから
僕は
向井さんのこと尊敬してるし
アパートに帰ったりしない
向井さんとご飯食べるし
お酒も飲むし
隣で寝るし

だから

いつもの向井さんに
戻って下さい」


真琴は
何にも悪くねぇのに
何故か真琴が
謝ってるみたいで

なんだか申し訳ない


そうだよな

俺がこんなじゃ
真琴が作ってくれたきっかけが
台無しだ


でも


どうしても
聞かせてくれ


ひとつだけ



「真琴」


「はい」



「ひとつ、聞いてもいいか」



「はい」



「同じ部屋に寝るとか・・」



「うん」





「気持ち悪くないのか?」



聞いておきたいくせに

言ってしまった
と思った俺に

手がジンジンするほどの
緊張が走った



「気持ち悪くなんかないです!
僕は普通に友達とだって
雑魚寝してますから!
ほんとにこれからも
何も変わらないから!
これからだって
パンツ一丁で
ブラブラしますから!」






「ありがとな、真琴(苦笑)」







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