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君を好きにならない
第12章 好きにならない

鍋を作ってる間も
真琴は妙に無口で
どうも
落ち着かない


やっぱり
さっき強く言い過ぎたのか?

と、気になりながら
鍋が完成し
俺達のブランチが始まった


「ビール飲んでいいですか?」


「かまわねーよ。
飲んでちょっと寝た方がいいんじゃねーか?」


「向井さんも飲みます?」


珍しく
真琴から酒を飲むと
言い出したかと思うと
『飲みます?』
とは言ってるが
『飲みますよね?!』
とでも言ってるような
圧力をかけてきた


あんまり
飲みたくはないが
付き合った方が良さそうだ


「あぁ、飲むよ。
ビールとってくれ」


そう言うと
真琴の顔は少し緩み
ちょっと安心した俺は
真琴のグラスに
ビールを注いでやった


「なぁ真琴
さっき出かける前に
パソコンチェックしたんだけど
らしくねぇな。
どうしたんだ?」


鍋をつつきながら
缶ビールを一本飲み干した頃
俺は仕事の話を切り出した


「らしく…ないですか?」


「あーいや
できてるとこまでは
俺の好きな
お前らしい言い回しで
すごくいいと思うんだ。
ほとんど直すとこもねぇよ」


「ほんとに?!」


あー
早く褒めてやればよかった。

真琴は
少し表情を明るくさせて
俺を見つめた。


「あぁ、ほんとだ。
俺も泣きそうになった」


「ホッとした…」


「けどな」


「うん」


「ピタッと止まってるだろ?
そっから」


「あー・・はい」


「その先全く書けなかったのか?」




「全然書けなくて…」

なんか
書こうとしても
入り込めなくて…」



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