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セカンドラブ
第2章 カ
「あの・・・っもしかして私、身体を壊していますか?」
「いや。俺の知る限りは元気だったけど」

そうか。
もしかして、体調を崩して退職したのかと思った。

健康なのに、子供がいないのに、なぜ退職したんだろう?
それじゃなくても会社は育児休暇を推奨していて
妊娠しても退職する女性が減ってきているというのに。

そんな不安なことが山積みのまま医者に行って
色々な検査を受けた。

けど、不安が的中したようになんの異常も見られなかった。

「様子を見てください」

安心させるようにそう言った医者に山本主任は静かに返事をした。

そのまま私と一緒に帰ろうとする主任に驚いて
「もう平気です。仕事に行ってください」
私の知っている山本主任は誰よりも早く会社に来て誰よりも遅く帰る。

こんな・・・
休んでいる姿なんて想像できないかも。

「ん?今日は有給取ったから平気だよ」

そういいながら眼鏡の位置を直す。

絶対に仕事は忙しいはずなのに。
係長になっているって事は、出世だって順調だ。
5年前の私の記憶の中にいる主任よりも絶対忙しいはずなのに。

「帰ろうか」

そう、ほんの少しだけ躊躇して右手を私に差し出した。

その手を取ろうか考えている私に

「危ないから」

そう理由づけをして、優しく私の手を握る。
その手の温かさに何とも言えない安心感が心に広がった。

あ・・あ。
私、この手を知ってる。

そう思えたら、この人と一緒にいて良いんだと
根拠もない安心感に包まれた。

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