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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第16章 真実と偽り



「それは‥
ですが、今の私はどうしていいのか分かりません」


「どうね・・・」


探している手を止めて、ダンボールを背にして座って見た・・



「今の私を見て、伊織はどう思う?
この調子で、早乙女会長と思えるかい??」


はっきり言って、20代の頃のまま‥
Tシャツにジーンズ、そして下ろしたままの髪‥‥


本当に20代の遠藤とまではいかないが、相変わらず20代で通るこの姿‥
この姿で、早乙女会長と結び付けられるのは少ない。



「私の子供の頃から、あまりお変わりになられていないとは思います‥」


「あの頃はもう少し砕けた話し方だったね‥」


「・・・
あれだけ葉山さんに言われましたら‥‥」


「まあ‥葉山もやりたいだけやったとは思うが‥
でもね‥葉山は葉山、伊織は伊織‥‥
伊織の個性は何処に行ったかな?
私は、そんな普通の伊織が好きだったよ、叔父としてね」


床をポンポンと叩き、遠藤も座れと示唆‥
少し考えたが、遠藤も私と向かい合うように座った。



「・・・
そう言われましても、あの頃はプライベート、今は仕事です‥
私は秘書として此処に居ます、ですから今‥会長のプライベートとどう付き合って良いのか・・」


「普通で良いと思うがね?
私のように、普通で良いのではないのかい??」


「普通・・・」


「流石に仕事もあるから、全てに於いてとは言わないが‥
こんな時まで秘書に徹しられたら、私の方も少しやりにくいんだよ」


頑なな心を開くには本心からの言葉‥
それも付き合いは長い伊織だ、私が本心から言っているのは、直ぐ気付く筈。



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