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あの口づけは嘘じゃない。
第2章 始まり

「…愛菜ちゃんって痴女なの?」

キスの合間に彼が聞いた。

「そんなことないですよ?初めてはまだだし。」

「ホント?処女なのにこんなことしてんの?」

目を大きく広げてそういう彼の顔に、ほんとに驚いた!と書いてあってちょっと面白い。

「ホントに処女か確かめます?」

「いや…いい、そういうのはちゃんと好きな人としなよ。今日出会った素性のわからない男に簡単に言うもんじゃないよ」

宮下さんの言う通りだ。言う通りなんだけど。
好きな人ができないのに、彼を欲してしまってるから問題なんだ。

「じゃあ私が宮下さんのこと知って、好きになったら私の処女もらってくれるんですね」

好きになるって何か分からないけど。そもそも好きなんて不確かな感情、信じることができないけど。この人に処女を渡してもいいかな、なんて思ってしまう私は軽いんだろうか。

「なにそれ…。俺12歳も年上のおっさんだよ?正気?」

「年の差とか関係ないと思いますけど。私がおっさんだと思ってないからそれでいいんじゃないですか?
それとも…今彼女いたりするんですか?」

「…いないけど。」

あぁ、よかった。

「じゃあ、連絡先交換してください。これからも会いたいです」

高校生に跨がられながら、こう言われて、断れる男はこの世にいないだろう。

「…わかった。いいよ。」
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