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イタズラな満月(フルムーン)
第14章 10th moon…涙
「行かないで…行くな…アリス…」
「…ユト?」
「今は傍にいて…頼むから…」
「…ッ」

その抱き締める腕に触れた雅。そんな雅の手を取り、指を絡めながらユトは腕を放そうとしなかった。

「…ユト?」
「……」
「やっぱり…無理だった?」
「え?」
「私の蘇り…やっぱり久我君があぁなった以上私は残りの満月までの時間を過ごすだけになった?」
「そんな事…」
「…ユト?大丈夫だよ?優しさよりも本当のこと言って?」
「…エスパシオに喧嘩売って、出来るのかとか言われて…説得途中に…その。」
「時間来ちゃって帰ってきた?」
「…じゃなくて…」
「……?」

エスパシオって誰?なんて疑問を問いかけることもなく、雅はユトの言葉を待った。しかし次に聞いたのは、思いも寄らなかったことだった。
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