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イタズラな満月(フルムーン)
第18章 special moon…右にあなたを、左に君を。
「悠人?…これって…」
「別に記念日とかでもないけど…」

そう笑いかけて唇をそっと重ねた時だった。ふと離れた時、雅はなぜだか解らないまま涙が止まらなくなった。

「雅?何、どうした…ッッ」
「…ッわかんない…」

そう答えた直後のことだった。月の光が反射するわけもないのに、キラリとピンクの石に光が集まった。

「…大丈夫か?」
「…ッ…ユ…ト」
「ぇっ…雅?」 
「ユト…」

ぎゅっと袖を掴んだまま雅は悠人を見つめた。

「…笑わないでね?」
「何…ッ」
「ユト…ごめんね、忘れてて…」
「…雅?」
「ごめんね」

何の事やら解らなくなった悠人。自分の中でしか存在しないはずの記憶が、何故雅の中にも生まれたのか…いや、呼び戻されたのか…謎はあったが、今はただ巻き付く雅を抱きしめる他無かった。
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