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好きになった人
第8章 夏―2.9
待ち合わせ場所に行くと、ちょうどの時間だった

直樹の姿を見つけると、ドキッとする

付き合う前に待ち合わせした場所と同じ光景を、思い出す

私に気づいて、手を振る直樹は、変わらない。。。

近づいて行くと、笑いかけてくる


珍しく、早いね?


まあな。。。

行こう?


私の手を引いて、引っ張っていく


ちょっと、手は離してよ?

誰かに見られたら困るっ


そのまま、走り出していく


えっ?


一気に走り抜けて行くと、角で停まる


足、早すぎっ。。。はあっはあっ。。。


急に走ったせいで、息があがる

腕が伸びてきて、抱きしめられていく


っ。。。離して?


ダメ。。。つけられてる


看板と電信柱に隠れるように抱きしめられている中で、誠とゆりが通りすぎていく


何で?


多分、俺がつけられてたな。。。


そうなんだ?


誠と、ゆりが話しながらキョロキョロしている

何で、尾行してるのよ。。。?

買い物じゃないの?

二人とは、反対方向に引っ張っていく


ちょっと?

どこに行くの?


地下にある小さなシアターに入っていく


映画見るんだろ?


あ。。。

昔見た映画が、見える


小さなシアターは人が少ない

カップル席に座らせられる


飲み物、買ってくる

何にする?


オレンジジュース


コーヒーじゃないんだ?

わかったよ

待ってて?


直樹が入り口から離れたのを見て、誠にメールする

尾行してたのに気づいたこと、シアターにいること

携帯の音を消して、かばんに入れる

直樹が戻ってきて、隣に座る

オレンジジュースを受けとると、薄暗い中で目が合う


ありがとう?


腰を引き寄せられて、もたれかかるようになる


ねぇ?

懐かしい。。。ね?


そうだな。。。懐かしい。。。感じ


髪を撫でながら、見ている


この映画の曲のCD、返してもらえなかったよ。。。?

本も、返してもらえなかった


そうだっけ?

俺のだと思ってた


もうっ

そうやって、返してもらえなかったCDや本、たくさんあるんだからね?


まあまあ?

大事に持ってるよ?


どうせ、捨てたでしょう?


いや。。。大切にしてるよ

間に、大切なものもはさんである


へそくり?


違うよ。。。思い出だな。。。



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