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好きになった人
第9章 秋ー2
蓮へ

この手紙を読んでいるということは、私はこの世にいないんでしょう。。。

全てを蓮に託すのを許してください。。。

蓮を身籠った時の幸せを今でも覚えています

蓮に、初めて出逢えた日、初めて笑った日

全て昨日のようです

初めて、ママと呼んでくれた感動は忘れられません

いつも、私の1番の味方をしてくれて、ありがとう。。。

でも、私は蓮の母親としては、失格でしたね。。。

失敗ばかりの私を、いつも助けてくれてありがとう

陸が生まれてからは、蓮に頼りっぱなしで、なかなか甘えさせてあげられなくて、我慢させてばかりで、ごめんね。。。

蓮がいたから、私は陸を育てていくことが出来ました

いつも何でも出来る蓮が、本当は努力家だということは知っています

蓮の夢が叶いますよう、願っています

陸は、蓮も気づいているように誠の子供ではありません

本当にずっと気づかなかった

血液検査の結果を見て、はじめて気付いた時、誠は俺の子供だと言ってくれました

誠に甘えて、許されないことなのに、誠から離れられなかった

私は、どうしても、直樹が忘れられなかった

誠からも、離れられなくて。。。

蓮が心を痛めていたのは気づいていたけれど、自分の心には嘘がつけなかった

蓮が誠を想うのと同じように、私も誠を想っていたし、愛しています

陸の手紙には、父親のことは書いてありません

直樹の手紙にもう1通の封筒が入っています

その手紙には、全てを書いてあります

私がいなくなった時に陸が父親のことを知ったら、受け止められないと思い、直樹に託すことにしました

私の死を受け入れて、大人になった時に渡してほしい

その時は陸のそばに、一緒にいてあげてほしいです

勝手なことばかりで、ごめんね。。。


私は、誠に出逢えて、蓮に出逢い幸せでした

蓮と陸の母親になれて幸せでした

蓮、私の所に生まれてきてくれて、ありがとう。。。


蓮も素敵な人と巡り会えますように。。。

蓮の夢が叶いますように。。。

願っています


お金は、蓮と陸の名義の通帳に全て入っています

保険証券類、全ての受け取り等は、アメリカにいる誠には、手続きが難しくなることを考えて、蓮の名義に全て変えてあります


勝手にいなくなって、ごめんね。。。


蓮、愛してる。。。



橘 詩織









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