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好きになった人
第1章 春
放課後、陸の家に行くと、詩織さんが優しく笑いかけてくる


いらっしゃい?

ゆっくりしていってね?

陸、部屋汚いけど、どうするの?


ああ。。。

兄貴は?


バイトよ?


なら、兄貴の部屋でやるよ。。。

兄貴が帰ってきたら、うまく言っといて?


もうっ

知らないわよ?


詩織さんっ

璃子が、きちんと片付けますゆえ、蓮さまの部屋で勉強会させてくださいっ


璃子が詩織さんの手を握り、キラキラした目で見ている


璃子ちゃん、よろしくね?

蓮、汚すと怖いから?


はいっ


璃子は蓮さまの部屋で勉強会が出来ることに興奮している


詩織さんが私に、気づいて笑いかけてくる


茉莉ちゃん?だったわよね?


はい

おじゃまします


茉莉ちゃん、ゆりさんに、そっくりね?

綺麗な顔。。。


母とも、知り合いなんですか?


ふふっ

昔、隣に住んでたのよ?

あなた達がお腹にいる頃に。。。


そうなんですか?

知らなかった。。。


ふふっ

お父さん、元気?



はい。。。


母さんっ

お菓子とジュース取りに行くから準備しといて?


陸が、会話をふさぐ


持っていくわよ?


いいよ。。。母さん、危なっかしいから?


ハイハイ


陸と、詩織さんの会話が羨ましくなる

うちは、ないな。。。

こういう、やりとり。。。

女ばかりだからかな?

陸の家は、男ばかりだからかな?

温かい空気が羨ましい



...



蓮さまの部屋に入ると、黒い部屋だった

きちんと片付けられて必要なもの以外には何もない

シンプルな部屋だ


璃子がはしゃいでいる


陸が私達に言ってくる


兄貴のものに、さわるなよ?

怒ると、俺より恐いよ?


わかってるよー


皆で座り、ノートを開く


お互いに問題を出し合いながら、勉強する


少し休憩に入り、お手洗いを借りに降りていくと、リビングで楽しそうな声が聞こえる


いけないと、わかりつつも覗いてしまう


リビングから続くキッチンには、詩織さんが料理をしながら、楽しそうに笑っていた


詩織さんの後ろに、陸の父親がいるのが見える

詩織さんの腰に手をまわして抱きついている


いけないと、わかりつつも覗いてしまうと、ドキドキする



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