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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 聖夜の恋人
車が松濤の縣邸に着く頃には、夕暮れ時に差し掛かっていた。
縣は光を宝物のように大切に抱きしめながら、玄関の前に立った。
光は堂々たるフランス煉瓦造りの瀟洒な屋敷を見上げて、懐かしそうに呟いた。
「…縣さんのお屋敷に伺うのは、何年ぶりかしら…」
「…君が12歳の時以来だ」
縣は光の髪を撫でながら優しく答える。
「よく覚えているわね」
光が感心する。
「…ガーデンパーティで、いきなりお付きのナニーのポケットにカエルを入れた女の子なんて簡単には忘れられないさ」
悪戯っぽくウィンクしながら光の額にキスをする。
「ドレスを汚すなとか、シュークリームは遠慮しなさいとか…とにかく煩いナニーだったの。…呆れた?」
上目遣いで様子を伺う。
「いいや。…その日一日は君のことを思い出しては笑いっぱなしだった。勝気でいたずら好きな美少女の侯爵令嬢…君がパリに留学したと聞いた時は寂しかったよ」
「…縣さん…」

玄関の扉を開けた執事の生田が、目の前で繰り広げられるご主人とうら若き侯爵令嬢とのラブシーンに、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。
「だ、旦那様…!お、お帰りなさいませ。…麻宮様のお嬢様…!ご無沙汰しております」
ようやく理性を取り戻した生田は丁重にお辞儀をし、二人をホールに案内する。
「お久ぶりね、生田」
光はにこやかに挨拶する。
「月城は…入れ違いか…」
縣はホール奥のクリスマスツリーに眼をやる。
飾り付けは完璧に終わっていた。
光は華やかに灯りが点る美しいクリスマスツリーに歓声上げる。
「まあ、綺麗!」
「暁は?」
ホールを見回す。
「暁様は、お仕事に専念されると仰せられて、お部屋に篭られています」
…人の心を察知するのが上手な弟だ。
私の様子から、その後の展開を予想して控えたのだろう。

「…そうか。では後ほど、光さんとは引き合わせよう。…生田、暫く私は光さんと私の部屋で大切な話をするから、使用人は誰も近づかないように申し渡してくれ」
余りにあからさまな言葉に光は羞恥から頬を染め、縣の大きな手をぎゅっと握りしめた。
生田はベテランの執事らしく、感情を一切表に出さずに伏し目がちに頷いた。
「承知いたしました。…晩餐は光様のお席もご用意いたします」
慇懃にお辞儀をし、生田は奥に去って行った。
縣は熱い眼差しで光を見つめ、光の手を強く引いた。
「…おいで、早く二人きりになりたい」

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