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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第2章 ピガールの麗人
店内は小さな舞台の周りに粗末なテーブル式の客席が20ほどの小さな店だった。
紫煙で煙る猥雑な雰囲気、客層もムーランルージュの外国人観光客やブルジョア層とは違い、庶民がほとんど…しかも酔客が大半の店であった。
ジュリアンはテーブルに案内したギャルソンにビールを2つ注文する。
「こんな店でロマネコンティを頼んでも置いていないからね」
ジュリアンは片目を瞑ってみせる。
「…全く…君の強引さときたら…」
縣もつい苦笑する。
「アガタは真面目で上品すぎるのさ。…本気の恋をする気がないなら、少しは羽目を外して遊ばなきゃ!人生は愉しむためにあるんだから」
したり顔で言うジュリアンの綺麗な額を縣は人差し指でつっつく。
「ご忠告ありがとう。けれど私も大人の男だ。今までだって梨央さん一筋の清廉潔白な身体だったわけじゃない」
ジュリアンは目を丸くする。
「そ、そうなのか?」
「あと腐れのない一夜限りの恋や、外国でのアバンチュールや…それなりに愉しんでいたさ、坊や」
その人好きのする魅惑的な目元に笑みを浮かべ、ジュリアンを見る。
「へ、へえ…」
「…けれどそれはすべてかりそめの恋だ…」
恋に手練た若き未亡人や酸いも甘いも噛み分けた恋多き夫人や外国のレディやマダム…。
一夜の恋や火遊びも愉しんだ。
梨央との婚約を解消してからも…。
しかし当然、夢中になれる女性と巡り会うことはなかった。
関係を結び、朝になると虚しさだけが残った。
どんなに美しい人も、妖艶な人も…朝になれば色彩を失った書き割りのマネキンのようにしか見えなかった。
…誰も梨央さんの代わりにはなれない…。
あんなにも美しく、清らかで、可憐で…
私の心を鷲掴みにするような人とは…
もう二度と巡り会えるはずがないのだ…。

タジタジの表情をしているジュリアンに、この店に少し興味を持ったように店内を見回して尋ねる。
「…で?ここはどんな店なんだ?ムーランルージュみたいなレビューが見られるの?」
ジュリアンは急に生き生きとする。
「ショーだ。…飛び切りセクシーなね…!最近、話題になっているらしいんだ」
「へえ…」
ジュリアンは少年のように瞳を輝かせる。
「とりわけ今夜は、凄い美人の初ショーだって。…さっき支配人に聞いてきたのさ」
「…では私も楽しみに拝ませて貰うよ」
縣は生温いビールを煽る。
場内が暗くなり、ムーディな音楽が流れ始めた。
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