この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 聖夜の恋人
光が白絹の襦袢を羽織っていると、次の間から縣がシャンパンとグラスを持ち、嬉しげに戻って来た。
「テーブルのワインクーラーに冷やされていたよ。…上等なルイ・ロデレールだ。しかも薔薇の花を添えて…」
見ると縣の手には見事な紅い薔薇の花が握られている。
「…弟の暁だ」
薔薇の花を差し出され、光は感心する。
美しく薫り豊かな深紅の薔薇…。
「随分、洒落たことをなさるのね」
「弟は気が利く優しい子なんだ。…おまけに頗るつきの美形だ。会ったら驚くよ」
臆面もなく自慢をする縣に、光はやや嫉妬めいた感情を抱く。
「…ふうん…」
「明日、朝一番に君に紹介しよう」
光は顔を赤らめる。
「…でも…弟さんは私が縣さんと一夜を過ごしたことをご存知なのでしょう?…なんだか恥ずかしいわ」
縣は紅潮した頬にキスを与える。
「…礼也だよ、光さん」
「…礼也さん…。貴方は光と呼んでくださらないの?」
縣は光に繊細なフルートグラスを持たせ、きめ細かな泡が立つ上等のシャンパンを注ぐ。
「…私は女性には敬意を払う主義なんだ。…でも…」
グラスをかちりと合わせ、艶めいた眼差しで微笑む。
「…ベッドの中では光と呼ばせてもらうよ」
光の胸が甘く疼く。
赤らめた顔を見られたくなくて、光はわざとぶっきらぼうに言い捨て、グラスを煽る。
「…バカ…」
そんな光を可愛くて仕方がないように優しく見つめ、襦袢の襟を直してやる。
「…君の着替えや身の回りのものを持ってこさせなくてはならないな。朝一番で北白川家に従者を遣らせよう。…ドレスと…何が必要?」
光は眼を見張る。
「…礼也さん、貴方もしかしてもう私をここに住まわす気なの?」
「もちろん。…嫌なのか?」
縣の顔が悲しげに曇る。
「…そうではないけれど…私達、あんな形でお見合いを打ち壊してしまったから…父を説得するのに時間がかかるわよ?」
「どんなに時間がかかっても、侯爵を説得するよ」
「…父の先祖は海賊よ?喧嘩になったら大変なことになるわ」
縣は光の手を取り、悪戯っぽく微笑む。
「私の祖父は炭鉱夫だ。…なかなかいい勝負になると思わない?」
光は可笑しそうに笑い声をたてる。
「…でも私、まだ貴方から正式にプロポーズを受けてないわよ。お見合いの席での、どさくさ紛れのあの一言だけでは嫌!」
つんと顎を反らせた光に、縣は神妙な顔ですかさず絨毯に跪いた。





/133ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ