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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 聖夜の恋人
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光が白絹の襦袢を羽織っていると、次の間から縣がシャンパンとグラスを持ち、嬉しげに戻って来た。
「テーブルのワインクーラーに冷やされていたよ。…上等なルイ・ロデレールだ。しかも薔薇の花を添えて…」
見ると縣の手には見事な紅い薔薇の花が握られている。
「…弟の暁だ」
薔薇の花を差し出され、光は感心する。
美しく薫り豊かな深紅の薔薇…。
「随分、洒落たことをなさるのね」
「弟は気が利く優しい子なんだ。…おまけに頗るつきの美形だ。会ったら驚くよ」
臆面もなく自慢をする縣に、光はやや嫉妬めいた感情を抱く。
「…ふうん…」
「明日、朝一番に君に紹介しよう」
光は顔を赤らめる。
「…でも…弟さんは私が縣さんと一夜を過ごしたことをご存知なのでしょう?…なんだか恥ずかしいわ」
縣は紅潮した頬にキスを与える。
「…礼也だよ、光さん」
「…礼也さん…。貴方は光と呼んでくださらないの?」
縣は光に繊細なフルートグラスを持たせ、きめ細かな泡が立つ上等のシャンパンを注ぐ。
「…私は女性には敬意を払う主義なんだ。…でも…」
グラスをかちりと合わせ、艶めいた眼差しで微笑む。
「…ベッドの中では光と呼ばせてもらうよ」
光の胸が甘く疼く。
赤らめた顔を見られたくなくて、光はわざとぶっきらぼうに言い捨て、グラスを煽る。
「…バカ…」
そんな光を可愛くて仕方がないように優しく見つめ、襦袢の襟を直してやる。
「…君の着替えや身の回りのものを持ってこさせなくてはならないな。朝一番で北白川家に従者を遣らせよう。…ドレスと…何が必要?」
光は眼を見張る。
「…礼也さん、貴方もしかしてもう私をここに住まわす気なの?」
「もちろん。…嫌なのか?」
縣の顔が悲しげに曇る。
「…そうではないけれど…私達、あんな形でお見合いを打ち壊してしまったから…父を説得するのに時間がかかるわよ?」
「どんなに時間がかかっても、侯爵を説得するよ」
「…父の先祖は海賊よ?喧嘩になったら大変なことになるわ」
縣は光の手を取り、悪戯っぽく微笑む。
「私の祖父は炭鉱夫だ。…なかなかいい勝負になると思わない?」
光は可笑しそうに笑い声をたてる。
「…でも私、まだ貴方から正式にプロポーズを受けてないわよ。お見合いの席での、どさくさ紛れのあの一言だけでは嫌!」
つんと顎を反らせた光に、縣は神妙な顔ですかさず絨毯に跪いた。
「テーブルのワインクーラーに冷やされていたよ。…上等なルイ・ロデレールだ。しかも薔薇の花を添えて…」
見ると縣の手には見事な紅い薔薇の花が握られている。
「…弟の暁だ」
薔薇の花を差し出され、光は感心する。
美しく薫り豊かな深紅の薔薇…。
「随分、洒落たことをなさるのね」
「弟は気が利く優しい子なんだ。…おまけに頗るつきの美形だ。会ったら驚くよ」
臆面もなく自慢をする縣に、光はやや嫉妬めいた感情を抱く。
「…ふうん…」
「明日、朝一番に君に紹介しよう」
光は顔を赤らめる。
「…でも…弟さんは私が縣さんと一夜を過ごしたことをご存知なのでしょう?…なんだか恥ずかしいわ」
縣は紅潮した頬にキスを与える。
「…礼也だよ、光さん」
「…礼也さん…。貴方は光と呼んでくださらないの?」
縣は光に繊細なフルートグラスを持たせ、きめ細かな泡が立つ上等のシャンパンを注ぐ。
「…私は女性には敬意を払う主義なんだ。…でも…」
グラスをかちりと合わせ、艶めいた眼差しで微笑む。
「…ベッドの中では光と呼ばせてもらうよ」
光の胸が甘く疼く。
赤らめた顔を見られたくなくて、光はわざとぶっきらぼうに言い捨て、グラスを煽る。
「…バカ…」
そんな光を可愛くて仕方がないように優しく見つめ、襦袢の襟を直してやる。
「…君の着替えや身の回りのものを持ってこさせなくてはならないな。朝一番で北白川家に従者を遣らせよう。…ドレスと…何が必要?」
光は眼を見張る。
「…礼也さん、貴方もしかしてもう私をここに住まわす気なの?」
「もちろん。…嫌なのか?」
縣の顔が悲しげに曇る。
「…そうではないけれど…私達、あんな形でお見合いを打ち壊してしまったから…父を説得するのに時間がかかるわよ?」
「どんなに時間がかかっても、侯爵を説得するよ」
「…父の先祖は海賊よ?喧嘩になったら大変なことになるわ」
縣は光の手を取り、悪戯っぽく微笑む。
「私の祖父は炭鉱夫だ。…なかなかいい勝負になると思わない?」
光は可笑しそうに笑い声をたてる。
「…でも私、まだ貴方から正式にプロポーズを受けてないわよ。お見合いの席での、どさくさ紛れのあの一言だけでは嫌!」
つんと顎を反らせた光に、縣は神妙な顔ですかさず絨毯に跪いた。
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