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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第3章 16区の恋人
…と、その時、石畳の階段を上がる音が聞こえ、部屋のドアが開かれた。
「ヒカル!仕事が決まったよ!」
輝くようなプラチナブロンド、蒼い瞳、優雅な絵画から抜け出したような美青年だ。
フロレアンは縣を見て眼を見張る。
光が慌てて紹介をする。
「フロレアン、こちらは縣礼也さん。日本ではバロンの称号を持つ方よ。私の従姉妹の元フィアンセ。
街で偶然に再会して、私を心配して訪ねてこられたの」
フロレアンはすぐさま人好きのする明るい笑顔を浮かべ、手を差し出した。
「ああ!リオの元フィアンセ!リオの話しはヒカルからよく聞かされています。アガタさん、初めまして。フロレアン・デュシャンです」
縣は微笑んでフロレアンの手を握る。
「縣礼也です。お留守中にお邪魔いたしまして申し訳ありません」
「とんでもない。…ヒカルの日本のお友達に会えて嬉しいです。…僕の知らないヒカルの話をたくさん聞きたいな」
フロレアンは美しい瞳を輝かせて、光を抱き寄せ頬にキスする。
光は嬉しそうにフロレアンを見上げた。
…どうやら人柄の良い青年のようだ。
縣は安堵する。
「…ねえ、仕事って?」
光が尋ねる。
「そうなんだ!ガリマール教授の紹介で、ある貴族の令嬢の絵の家庭教師の仕事を受けることにしたんだ!プロヴァンスに住むお嬢さんなんだけど、それまでの絵の教師が体調不良で教えられなくなったらしくて、教授が僕を推薦してくれたんだ。ひとまず、その先生の体調が回復するまでの間だけどね。
給料もかなりいいらしい。しかも、教えの時間以外は好きに絵を描いていいって」
「良かったわね!フロレアン!」
2人は手を取り合い、喜ぶ。
「…ただ、プロヴァンスは遠いから平日は住み込みになるんだけど…」
フロレアンの美しい顔が僅かに曇る。
縣はその話を聞いて、即座に口を開いた。
「話に割り込んで申し訳ないのですが…実は、私も光さんに私の秘書の仕事をしていただきたく、今日お願いにあがったのです。仕事の関係上、住み込みでお願いしたいのですが…。場所は16区のロッシュフォール家の屋敷…私が友人に間借りしている家です。ここには家政婦、メイドが2名おります。光さんに不自由な思いはさせません。仕事は主に翻訳に通訳です。お許し願えますでしょうか?」



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