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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第3章 16区の恋人
華やかな皇帝円舞曲が最後の旋律を奏でられた時と同時に、舞踏室の入口から突然大きな日本語が響き渡った。

「光!…こんなところにいたのか‼︎お前は…‼︎」
縣がはっと振り返ると、正装した堂々たる体躯の初老の日本人紳士が入口で仁王立ちになり、光を睨みつけていた。
その声に光が凍りついたように固まり、ジュリアンの腕をぎゅっと握りしめたのが見えた。
そしてその紅い唇が小さく
「…お父様…!」
と喘ぐように呟いたのも…。

…光さんの父親?…麻宮侯爵か?
縣が察知した時、その人物は大股で足早に光に近づき、強引に光の腕を掴んだ。
「…お前が隠れていそうな安いアパルトマンは全てしらみつぶしに探したのだ。…よもやこのような名家の夜会に招かれているとは!預金も全て引き上げたのにどういう訳だ‼︎」
最初は驚愕のあまり声も出なかった光だが、父親の言葉を聞くや否やその切れ長で美しい瞳に強い光を宿し、父親を睨みつけた。
「離して、お父様」
光の父親…麻宮侯爵は握りしめる手に更に力を込め、強引に光を引き摺ろうとした。
「来るのだ、光。お前は日本に送り返す」
「嫌よ!お父様は私とフロレアンを引き離すつもりでしょう⁉︎」
麻宮侯爵は強い眼で光を睨み返した。
「当たり前だ!フランス人の貧乏絵描きとの結婚など、私が認めると思うのか!お前は麻宮侯爵家の跡取りなのだぞ!来るのだ、光!」
「嫌!お父様の言いなりになんて、誰がなるものですか!」
突然、言い争いを始めたオリエンタル美女と日本人紳士の組み合わせに舞踏室の来賓全てが一斉に注目し、ざわざわとしたざわめきが起こった。
お坊ちゃま育ちのジュリアンは、この状況をどうしたらよいか分からずおろおろするばかりであった。
「ヒ、ヒカル…!あ、あの…麻宮侯爵…」
麻宮侯爵は傍らのジュリアンを見ると、さすがに礼儀正しくたどたどしいながらもフランス語で説明をする。
「ロッシュフォールのご子息様ですね。失礼をお許し下さい。光は私の娘です。ずっと行方不明だったのをようやく探し当てることが出来ました。光は日本に連れて帰ります。
さあ、光、失礼しよう」
「嫌!お父様なんて大嫌い!離してよ!」
「光!来るのだ!」

「お待ちください。麻宮侯爵」
諍いを繰り返していた二人の前に現れたのは、縣であった。
縣はさりげなく光の前に、麻宮侯爵から庇うように立ちはだかった。






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