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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第11章 虚しさという名の快楽

粘着質な液体が伊月の口内に吸い込まれ、舌の上に溜まる。

渇きを癒やすような…それでいて、少しの名残惜しさを感じさせる速さで、喉を動かしながら体内に流し込む。

「ハァっ、ハ……花菜…ッ…」

愛する花菜の雌(メス)の味。

風呂上がりの彼女から香っていたボディーソープのフローラルで健康的な香りは、もはやここに無い。

辺りに充満するのはもっと危険な芳香だ。雄(オス)の思考を痺れさせる中毒性。

する筈もない甘ったるい味までするから、頭だけじゃなくて舌の感覚まで可笑しくなったのだろう。

夏の暑さでドロドロに溶けた生クリーム

舌触りはまさにそれか。

だが本来、甘い物が苦手な伊月だ。そんな彼でさえ夢中ですすらずにはいられないのは、花菜への異常な執着の証だった。

「…っ…ハァ、駄目だな…追いつかない…」

時おり口を離して目を伏せれば、奥へいざなおうと蠢く入り口が視界いっぱいに映り込む。

これまで何度も見てきた光景でありながら、焼き付けようとする彼の目は狂気さえ感じるほどに真剣だ。

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