パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第8章 空を駆ける言葉

あれから数日が経ち、結城への愛に気付くのと同時に優雨はあることが頭から離れなくなってしまった。

それは結城が自身の目の前で、良介に優雨を抱かせたことの意味……そして、優雨と特別な関係になったことの意味だ。

――結城はやはり自分のことを性の道具のように思っているのではないだろうか――

そう思うことは辛かったが、理沙子曰く、結城は昔から浮気を繰り返しているような男性なのだ。
もしかすると、今のような夫婦交換もしたことがあるのかもしれない。

心が通じ合った気がしたこともあったけれど、それは自分の思い込みだったのではないだろうか……。

そう考えることが自然のように思えた。

優雨の方はと言えば、結城自身が仕向けたことなのに、あんな場面を見られてしまい軽蔑されたのではないかと……心配で堪らない有り様だというのに。

また、久々に夫と繋がって、万が一また求められるようになったらどうしようかと思っていたが、それは杞憂に終わった。

良介は以前と変わらず、優雨に関心を示さなかったのだ。

ホッとする中にも一抹の寂しさを覚える優雨だったが、すぐにそんな気持ちは消え失せた。
出張に出た結城から、時折メールが届くようになったのだ。

メールといっても、それは文章ではなく風景写真だった。

結城の出張先はヨーロッパで、移動中に車窓から見える景色を気ままに撮影しては送ってくれている様だ。

海外からメールが送れるなどと思ってもみなく、音信不通になるとばかり思っていた優雨は驚いたが、結城の気遣いが嬉しかった。