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伝わらない想い
第8章 人を愛するということ
「なんで蘭が泣いてんだよ」
優しい声。
「手出したのもあれが原因?」

「...」

何も言わない私を見て全てを理解したのか、陸は「...俺のためにありがとな」と言った。

「っ......で?」

「ん?」

「なんで?なんでそんなに優しいの?意味わかんないよ...っ」
1度出始めてしまった言葉が止まらない。
「誰にでも優しいからダメなんだよ」
「何が“幸せになれよ”よ、信じらんない」
「そんなんだから利用されるんだよ」
「ばかっ」

「...」

「...」

「ふっ」
陸が笑う。

「何が可笑しいのよ」

「さっき純にも優柔不断やめろって怒られたばっかなんだよ」
それに...と陸は続けた。
「こんな感情的な蘭、初めて見たよ」

かぁっと顔が赤くなるのが分かる。
「それ、は...っ」
急に恥ずかしくなって言葉がつまる。

「蘭、ありがとな」
もう一度そう言うと、陸は私の頭をぽんっと撫でた。
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