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伝わらない想い
第8章 人を愛するということ
「結婚って...え、いや、急過ぎだろ」

「そうか?茜のこと、一生離さないって言っただろ」
平然とした様子で純は少し冷めた珈琲を口にした。

「...茜ちゃん、おめでとう」

「ありがとう」
にこっと少し頬を赤らめて笑う茜ちゃんは本当に幸せそうで、羨ましく感じた。

まだ友達になって日は浅いけど、彼女の幸せを素直に私は喜んだ。

結婚か...。

憧れるけど、今は私の想いが陸に伝わって欲しい...ただそれだけを思った。

伝わらない想いと伝わる想い。

それはきっと紙一重で、ちょっとしたことがきっかけで変わってしまう。

世の中にはこんなにもたくさんの人がいるから。

出逢えただけで、それは奇跡で。

だから、お互いを大切に想える存在と出逢えたことを運命と言うのだろう。

お父さんとお母さん。
そして、純と茜ちゃんはお互いが運命の人だったんだ。

私の運命の人が陸であって欲しい...。

私はただただそう願った。
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