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恋の行方を探してください【完結】
第26章 【二十六話】ジュエリー・コバヤカワ
 チートの本来の意味って、ズルやら騙すだったような気がするが……。

「騙すんですか?」
「騙すよりズルかな?」

 そういうと由臣さんはくすりと笑った。

「そのカードがあれば出入り自由だけど、セキュリティレベルA以上は指紋と網膜認証があるから、本人以外は入れない」

 ちなみに、ジュエリー・コバヤカワのセキュリティレベルはSだ、と由臣。

「さて、入るとするか」
「はい」
「先ほども話したが、ここは統括事務局と同じで、一人ずつしか入れない。ちなみに、ゲートにだれかが入っていると、あそこの上のランプが黄色になる」

 と指を指されたところは、今は青いランプ。

「美哉、先に入れ」
「私からですか?」
「ゲートの横にカードリーダーがある。そこにカードをかざせば、問題なく開く」
「……はい」

 サークルゲートの扉の部分は透明になっていて、中身と向こう側が見えるようになっていた。覗いてみると、ゲートを抜けた先が少しスペースがあって、さらに同じようなゲートがあった。三つもというのはずいぶんと厳重だな、というのが美哉の感想だ。
 由臣に言われたとおり、美哉はゲートの横にあるカードリーダーに薄紫色のカードをかざした。すると、ぶん……と小さな唸りを上げて扉がスライドしたので、美哉は驚いて少し後ずさってしまった。

「その扉、五秒以内に入らないと、閉まるぞ」
「えっ」

 美哉は慌てて飛び込んだ後、すぐに後ろで扉が閉まる音がした。
 扉の中は円筒形のあまり広くない空間。
 一人入ったら窮屈に感じるほどのものだ。
 半歩もしない距離で向こう側に繋がる扉があり、その横に機械が取り付けられていた。
 きっとここにカードをかざすのだろう。
 カードをかざすとリーダーから無機質な女性の声で指紋と網膜認証を促してきたので指示通りにすると、やっぱりこちらも音を立てて開いた。
 ゲートに入る前に見えていたけれど、扉を抜けると少し広めの空間が広がっていたけれど、その先にも今、通り抜けてきたゲートと同じものがあった。
 振り向くと美哉が出てきたゲートの上のランプが黄色くなっていて、中に由臣が入っているのが見えた。もう一つ、隣のゲートのランプは青色だった。こちらにはだれも入っていなかった。
 音がして扉が開き、由臣が出てきた。

「よし、無事に通れたな。次も同じ要領で通過してくれ」
「はい」
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