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恋の行方を探してください【完結】
第4章 【四話】『浮気』現場
 由臣は美哉の奥へ押し込むように腰を動かした後、大きなため息を吐いた。

「……そんなに言うなら止める。興が醒めた」

 そう言うなり、由臣は美哉のナカから抜け出した。確かに美哉はそう言ったが、それはそれでどうなんだろうか。美哉が呆然としているうちに、由臣は服を着ると部屋を出ていった。
 え、放置プレイ? と思っていると、由臣と入れ替わりに現れたのは、長い黒髪を高くくくった美女だった。化粧もばっちりしているし、狐のような印象のあるつり目は、ぱっと見は近寄りがたかったが、それでも笑みをたたえていたからなのか、それほど怖いとは思わなかった。

「ごめんなさいねぇ、由臣ったら気が利かなくて」
「あ……その」

 あまりにもよいタイミングだったので、もしかしなくても扉の外に待機していたのかと思ったけれど、美女が先に美哉の疑問を解いてくれた。

「由臣の命令で、下の部屋に待機していたの」

 命令……と美哉は思わず呟いた。

「あら、ごめんなさい。自己紹介がまだだったわね。あたしは馬場伊吹(ばば いぶき)。いっちゃんって呼んでねっ」

 そういって伊吹は美哉に向かってウインクをしたが、どうしてだろう、こんな美人にも関わらず、美哉にはぶわっと鳥肌が立った。

「……え」

 そこで美哉の中で「まさか……」という、ひとつの仮説が立った。
 美哉に鳥肌が立つときは、『男性が近づいてきたとき』であるから……。

「あの……失礼なこと、聞いていいですか」
「なぁに? 失礼なことなら、由臣からさんざん言われ慣れてるから、大抵のことは平気よ」

 とにっこり微笑まれ、鳥肌がさらに強くなった。皮膚が痛くて仕方がない。それで、確信してしまった。

「あの……馬場さんって」
「やだ、苗字で呼ばないでよっ。いっちゃんで、よ・ろ・し・くっ」

 と言われたので、美哉は仕方なく、言い直した。

「いっちゃんは……その、あの……男の人……ですか」
「……………………」
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