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恋の行方を探してください【完結】
第47章 【四十七話】誘拐
 気がついたら、裸のまま紫紺と抱き合って狭いベッドで眠っていた。

「……紫紺?」

 そう声を掛ければ、紫紺も目を覚ましたようだった。

「ん……って、あぁ、美哉か」
「ね、紫紺」
「答えないぞ」
「……意地悪」
「意地悪で結構。……って、ちょっと待て、美哉。おまえ、熱がないか?」
「んー? 言われてみれば、頭が痛いかも」
「すまない、無理をさせたか」
「大丈夫、寝れば治るから」
「ちょっと待て、裸のまま寝るな!」
「紫紺に抱きついてると、気持ちがいい」
「ちょっと本気で待て。とにかく、服を着ろ、服を!」
「やだ。このまま裸で抱き合ってるのー!」

 そう言うと、美哉のどこにそんな力があるのか、ぎゅっと力いっぱい紫紺の身体を抱きしめると、そのまま意識を失ってしまった。

「ちょっと、美哉。本気で待てって。……これ、どうすればいいんだ、オレ」

 抱きつかれたままの紫紺は困惑して、だけど顔を真っ赤にして荒い呼吸をしている美哉を見て、途方に暮れた。

 どうにか美哉の腕から抜け出た紫紺は、美哉に服を着せ、額に濡れタオルを乗せた。熱を測ると、かなり高い。医者を呼ぶべきか悩んだ挙げ句、美哉の立場を考えて、呼ぶことは止めた。

 相当無理をしていたらしく、美哉の熱は一週間近く下がらなかった。口移しで水分やゼリー飲料を取らせて、ようやく熱が下がった。
 ホッとしていると、美哉が目を覚ました。

「……ここ、どこ?」
「山小屋」
「あなた、だれ?」
「え……」
「私……。私……なんにも思い出せない」
「美哉?」
「私の名前、美哉っていうの?」

 きょとんとしている美哉を見て、紫紺は激しい怒りに支配された。
 自分を含めた御庭番は、美哉に色々と無理強いをして、無理をさせた。美哉にとってはそれはやはり強いストレスとなり、記憶を封印する、という形で精神の平安を保つという選択肢を取ったということなのだろう。

「美哉……ごめん」
「なんで謝るの? えと……」
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