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恋の行方を探してください【完結】
第48章 【四十八話】脱出
 窓ガラスが割れていなければ、まだ良かったのかもしれない。だけど、綺華のハイヒールで思いっきり割れた窓ガラスに当麻の身体が突っ込み、外へと身体が投げ出されるのが、スローモーションで見るかのようにゆっくりとはっきりと美哉には見えた。
 ここが何階か分からないけれど、下手すれば助からないかもしれない。

「う……そ」
「あたしの邪魔をするのは、当麻でも許さないわ!」

 あまりの出来事に、美哉は目を見開いた。

「これで邪魔者はいなくなった。ふふふ……ゆっくりと殺してあげる」
「し、信じられ……な、い」

 にたぁっと壮絶な笑みを浮かべた綺華は、美哉にゆっくりと近寄ってきた。

「来ないで!」
「ふふふ……あなたも窓から飛び降りる? 二階だから死にはしないわよ」

 美哉は首を振り、窓から遠ざかるようにして、じゅうたんの上を這いつくばって逃げようとしたが、すぐに捕まった。

「ふふふ、そんなので逃げられると思ったの?」
「止めて!」
「ブスのくせに生意気なのよ! あたしの方が美人だし、スタイルもいいのに! あり得ない、あり得ないんだから!」

 肩を殴られて、美哉はあまりの痛さに呻き声を上げた。

「首を絞めて窒息死なんて、簡単に殺してあげない。痛めつけて、当麻に色目を使ったことを後悔させてやるんだから!」

 色目なんて使ってないし、美哉が知らないところで、一方的なのに、言いがかり過ぎる。

「違う!」

 ここで反論すれば、余計に立場が悪くなるのに、そう言わずにはいられなかった。

「私は知らない!」
「そうやってお高くとまって、何様よっ」

 綺華が手を上げて、また殴り掛かろうとしたところ、綺華の後ろに気配を感じて顔を上げると、夢の中で見た男性が無表情で立っていた。
 美哉の顔に拳が当たる寸前で、男性は綺華の肩をつかむと、軽々と後ろに投げ飛ばした。

「あ……っ!」
「勝千代、殺人未遂の現行犯逮捕だ」
「日下部綺華、殺人未遂の現行犯として逮捕する」
「離せ! あのオンナ、あたしから当麻を盗ろうとしたのよ! 当麻を返してよ!」
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