この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
恋の行方を探してください【完結】
第49章 【四十九話】あなたは誰?
 美哉は身体を起こし、それから紫紺を見た。

「……紫紺」
「ん、なんだ?」
「私……若葉小屋から追い出されたの」
「は? 若葉小屋ってなんだ?」
「若葉小屋って、お世話になってたところ」
「あぁ、そんなことを言っていたな」
「由臣さんに付き合ってもないのに別れようって言われて、追い出されました」
「は? 昨日、会ったけど、そういう感じに見えなかったけど」
「それはたぶん、紫紺がいたからじゃない?」
「うーむ、違うような気がするけど……」

 美哉は首を振って、それから紫紺を見た。

「紫紺、お願いがあるの」
「なんだ?」
「仕事と住む場所が決まるまで、あの山小屋に置いてほしいの」
「え、なんでだ? 若葉小屋に戻ればいいじゃないか」
「私、追い出されたんですよ?」
「別に置くのはかまわないんだけど、もう一度、小早川の三男ときちんと話をしてからにしろよ」
「嫌です」
「嫌と言われても……。じゃあ、分かった、オレが話を聞いてくるから、ここで待ってろ」
「…………」

 紫紺が部屋を出ようとしたとき、ドアがノックされた。思わず紫紺と美哉は顔を見合わせた。

「はい」

 紫紺が返事をしたことで、美哉は紫紺にしがみついた。紫紺は思わず苦笑する。

「小早川だが」
「あぁ」
「だめっ!」

 と美哉が止める前に紫紺は鍵を開けて、ドアを開いていた。ドアの向こうには、久しぶりに見る由臣。しかし、なんだか違和感があった。
 美哉は紫紺越しに由臣を見ていたが、紫紺は美哉をかばうように両手を広げた。

「おまえ、だれだ」
「だれって、小早川由臣だが」
「違う。もう一度、聞く。おまえは、だれだ」

 敵意を丸出しにした紫紺に、美哉は戸惑った。
 目の前に立つ男性は違和感があるけれど、見た目は由臣だ。だけど、なにがどうとはっきり言えないけど、やはりどこかが違う。
 そして、どこが違うか分かった。
 由臣そっくりだけど、視線が違うのだ。本物の由臣ならば、美哉のことを本当に愛おしそうに見つめてくるのに、目の前の由臣は、ひどく冷めた視線をしていた。違和感の正体はこれだと分かった。
 後は由臣が言っていたけれど、『匂い』が違う。由臣は爽やかな柑橘系の香水を好んで付けていたが、目の前の由臣からはそれが匂わない。

「あなたは由臣さんじゃない」
「オレが違うと? どこにその証拠が?」
/277ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ