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恋の行方を探してください【完結】
第8章 【八話】気持ちいいことはイイコトだ
 美哉は大きく息を吐くと、続けた。

「男性がそばに近寄るだけで鳥肌が立っていたので、電車などは苦痛でした。だから今まで勤めていた会社は、会社の近くに寮があるということだったので、そこにしたんです」

 それが結果として、職を失い、住む場所も失い、挙句の果てには処女まで失った。

「とはいえ、由臣さんに初めて会った時、鳥肌が立たなかったんです」
「そうか。俺は逆に美哉を見た瞬間、初めて勃起したからなぁ」
「……え」
「あー……。ここにいる御庭番はみんな俺の身体のことを知っているから話すが、俺の身体、なにかがおかしいようで、普通なら、局部に刺激を与えれば、勃起するんだが、俺は美哉に出会うまで、ぴくりともしたことがない」
「……それはそれで変人ですね」
「よく言われる。特にそこの勝千代に」

 由臣にそういわれ、勝千代に視線を向けると、大きくうなずかれた。

「同じ年だし、父が御庭番をしていた関係で、おれは昔から由臣との付き合いがある」
「幼馴染、ってやつですか」
「そうだな」

 とそこで、美哉はふと疑問を持った。

「勝千代のお父様も御庭番なんですか」
「そうだが、今は由臣の親父の警護をしている」
「……え、ということは、ちょっと待ってください」

 与頭は御庭番のトップと説明されたが、もしかしなくても……。

「美哉がなにを心配しているのか分かったから説明するが、正確に言えば、勝千代の親父は元御庭番だ」
「え……あ、そうなんですか」
「代替わりしているが、元とはいえ、まだ充分に現役で働いてもらえるから、護衛をしてもらっている」

 それを聞いて、美哉はほっと安堵のため息を吐いた。

「──で、話が脱線したが、美哉の鳥肌は、俺に対しては発揮されなかった、と」
「そうなんです、不思議なことに」
「それなら、簡単な話だ」
「え?」
「美哉の親父さんは『美哉のことを一番に想ってくれて、生涯をかけて愛してくれる男性が現れるまで、待てばいい』と言ったんだろう? それから男性が近寄ると、鳥肌が立つようになった。でも、俺に対しては鳥肌が立たなかった。ということは?」
「……だから、御曹司とイケメンはお断りしますっ!」
「あ、俺のこと、イケメンっていう認識なんだ」
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