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恋の行方を探してください【完結】
第18章 【十八話】由臣の壊滅的なあだ名センス
 局長はさらに頭を下げると、そのままの姿勢で恐ろしい速さで後退して、扉の向こうへと消えていった。
 唖然と美哉は局長を見送ったが、ぼそりと一言。

「……器用な人ですね」
「ぶ……はははっ!」

 由臣と美哉のやりとりを見ていたボブカットの女性は、吹き出すと涙がにじむほど笑い出した。

「三男をやり込めるなんて、もー、超さいこーなんだけど!」
「え……?」
「あははは、面白すぎる!」

 面白くともなんともないんですけど、と美哉は思ったけれど、由臣は未だにうなだれているし、その横で女性はゲラゲラと笑っているし、よく分からない状況になっていた。

 ようやく笑いが治まった女性は、美哉に真っ直ぐと向くと、軽く頭を下げた。

「すみません、挨拶が遅れました。わたし、赤羽真那(あかばね まな)と言いまして、統括事務局の登録班に所属しています。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします。私、宇佐見美哉と申しまして、成り行き上、由臣さんの助手を務めることになりました」
「……あと、与頭」

 由臣は真那に聞こえるくらい小さな声でぼそりと呟いた。

「違いますって!」
「違わないだろう」
「あー、そーいうことね。それなら……ちょっと場所を変えましょう」

 そう言うと、真那は統括事務局の扉ではなく、ロビーの先にある廊下を指し示した。

「それでわたしを呼び出したってわけね?」
「そういうことだ」

 二人のやりとりの意味が分からなくて、美哉は小さく首を傾げた。
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