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狂い咲く花
第4章 一、雛菊 - 希望
「ごめん。これも算盤で弾いてくれる」

町全体に降り積もった雪も解け始め、暖かい風が吹き始める季節。
桜が満開になろうかとしている季節に美弥は葉月の実家にいた。
美弥の目の前には10冊以上の帳簿が積み上げられ、その上に追加で5冊ほど積み上げられた。
その一向に減らない量にびっくりして目を丸くする。
一週間前から朝から晩まで泊り込みで弾いても弾いても終わる気配を見せない昔の帳簿たち。
さすがに黙り込んでしまった。

「美弥ちゃん。本当にごめん。それで本当に最後だから。」

奥の方から春日兄の悲痛な声が聞こえてくる。
美弥より寝ていない春日兄。
ゲッソリとした顔を見たら頑張るしかないと思ってしまう。

「大丈夫ですよ。春日兄も無理しないで。」

ありがとうという代わりに片手を挙げて奥の部屋に戻っていった。
来年の春先に結婚を控えている春日兄。
それと同時に家督を継ぐ。
二十歳で家督を継ぐのは一般的には早いのだけど豊田家では普通のことだった。
それが代々受け継がれてきた伝統。
早めに家督をついで自立する。
かといって、すべて任せるというわけではない。
家督をついでから商売とは何かを一から仕込まれるのだとか。
名ばかりの当主とも言われていた。
それを前に、代々続いた古い帳簿を整理したいと春日兄が言いだしたのが始まりだった。
その数100年分。
バラバラに収められている帳簿をすべて統一すると言って一斉掃除が行われることになった。
家の者だけでは埒が明かないと考えた春日兄が葉月を通じて美弥頼んだのだった。
算盤を弾かせたら町一番と言われるほど早くて正確な美弥の算盤。
2人分の帳簿を一人で弾いていた。
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