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第6章 一、紫丁香花　-　恋の芽生え

「あ―――――。父様だぁ！！」

戸口に立っている父様を見つけ走り出した麻耶は、そのままの勢いで抱き付くき父様は大きな体で受け止めた。

「麻耶は相変わらずだなぁ。」

16歳の少女を軽々と持ち上げて抱きしめる。
父様が家に戻ってくるのは数週間ぶり。
久しぶりに見る父様の肌は日に焼けていた。

「おかえりなさい。父様。」

「ああ。美弥、ただいま。今日はみんなで魚釣りだって？」

「でかいの釣ってきたよ」

南和が得意げにバケツを上げて見せる。
その中には大小さまざまな魚が10数匹程入っていた。

「久しぶりに帰ってきたんだ、この魚で一杯付き合え」

南和の首に腕を回し問答無用で家の中に引き込んでいく。
途中でバケツを母様に渡し、受け取った母様は『ごめんね』と南和にしか聞こえないほど小さい声でつぶやいた。
美弥と葉月は、ヤレヤレと言った感じであとに続く。
南和の釣ってきた魚をつまみにお酒を飲むのはいつものこと。
男同士遅くまで続く。