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第7章 一、麝香豌豆　 -　つかの間の喜び

「美弥―！葉月―！飯だぞ――」

父様の呼ぶ声が敷地内に広がる。
大柄で声の大きな父様の声はどこにいても聞こえてくるほど大きかった。
2人は苦笑してみんなが待つ居間へと向かった。

「おはようございます…」

昨日のお酒が抜けきってはいないのか、少し怠そうに葉月が父様に挨拶をする。
麻耶はまだ寝ているのかそこにはいない。

「その面は何だ何だ？二日酔いで起きれなかったか」

どんなに深酒しても次の日には元気な父様が豪快に笑う。

「おじさんは相変わらず平気そうですね」

「おうよ！あの程度じゃ、酔わんわい。…全然戻ってこないって言うから、美弥を襲ってんじゃないかって思ったが…それも心配いらないみたいだな」

「そんなことしたら、おじさんに殺されますから」

「それもそうだ」

葉月が何もなかったかのように父様の話をかわす。
美弥はバレないかハラハラして気が気ではない。
いつ昨日の夜の事が話に持ちあがるのか気になって落ち着いて朝ごはんを食べる余裕はなかった。