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狂い咲く花
第9章 一、水芭蕉 - 決心
人の目が気になる以前に自分の気持ちが追いつかない。

「また麻耶に会いに来てくれる?」

淋しそうな瞳で聞いてくる。
そんな目で見ないでくれと訴えたくなる。

「ああ…そのうちにな…」

お互いの腕を解き、麻耶からも逃げるようにその場を後にした。
やはり、この場所に来てはいけなかったのだと後悔する。
結果的に2人を裏切ってしまった自分が、平気な顔をして二人の前に姿を見せる権利などないと思い知らされた。
麻耶には申し訳ないが、自分が手を取りたいのは今でも変わらず美弥。
だけど、裏切ってしまった今、それを望み続けていいのだろうか?
何食わない顔で『愛している』と言っていいのだろうか?
思うことはすべて美弥の事。
こんなにも愛しているのに一度の過ちで全てが消えていく。
美弥のことだけでなく、麻耶の自分を慕う心も壊していく。
今までのように美弥と将来を語り合い、夢見ることは自分には許されない。
今までのようにかわいい妹として日々を過ごしていくことも許されない。

そう…思ってしまう。
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