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山猫と狼
第15章 女王様のご乱心
翌日、ロイは怪しまれないよう夜までいつも通りに過ごした。


夕餉が終わると入浴をして身を清め、ベッドの上でクロードがやって来るのを息を殺して待っていた。


いつもと違うのは、枕の下に短刀を忍ばせていることだけだ。


ロイは心臓を激しく脈打たせながら、時が来るのを静かに待った。


かちゃりと扉が開く音がして、クロードが部屋に入ってきた。


「お待たせいたしました、妃殿下。今夜もたっぷり楽しみましょうね」


羽織っていたガウンを脱ぎ捨て、クロードは一糸まとわぬ姿になった。


ベッドの上で仰向けになっているロイに被さり、彼女の夜着を脱がせながらその唇を深く味わう。


それから乳房に手を伸ばし、そのまろやかさを賞味する。


クロードは乳首に吸い付くと目を閉じた。


彼は母親に甘える赤ん坊のように、ロイの胸元ですっかり安心しきっている。


・・・・今だ!!!



ロイは枕の下に隠しておいた短刀を掴み、クロードの背中にブスリと一撃お見舞いした。


「・・・・!!?」


だが、彼の肌を突き破る刹那、ロイの手はクロードに振り払われ、短刀がからんと音を立てて床に転がった。


「ロイ妃殿下。私を殺すなら、もっとうまくやってください。


そんな攻撃じゃ、いつまでたっても私を越えられませんよ?


最も、山猫も今じゃ可愛い私の飼い猫なのですから、もう強くなる必要はありませんがね」


「畜生・・・・・!」


クロードの言葉にロイは激高し、クロードの腹を拳で殴った。

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