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呪縛
第4章 魔王のペット、レオナ
「レオナ、お前は常に自らがどんな目にあっても、それが当然の様に振舞っているが、もし違う者が現れたらどうする?」
アデルが笑みを浮かべて言うと、大天使シャロンが体を拘束された状態で呼び出される。
「シャロン!!」
思わずレオナは声を上げていた。その声に気づいたのか、意識を失っていたシャロンは目を開ける。
「シャロンに何をする気だ!!」
レオナがアデルに声を荒らげて言う。
「これからその女ははお前の仲間入りだ。」
魔王の声が天井から響くように聞こえる。
「仲間入り?シャロンは堕天使ではなっ……。」
そこまで言った時、胸に痛みを覚えて、レオナは半ば立ち上がりかけていた椅子にもたれ、息を荒げる。
「レオナ、レオナ。」
シャロンが心配そうにレオナを呼ぶ。
「レオナ、大天使の羽根は見事なモノだな。白く大きく。威厳に満ちていると言うか。ククク。魔王様の命により、シャロンはお前の世話係に任命された。この羽根と引換に……な。」
アデルが身動きの取れないシャロンの大きな羽根を一気に体から引き剥がす。シャロンは痛みの余りに叫び、レオナのやめろと言う叫びと重なり部屋中に二人の声が反響した。
羽根をもがれ、シャロンは拘束を解かれるとレオナの膝にもたれかかる様に倒れる。背中からはおびただしい血が流れている。
「レオナ、その女を介抱してやれ。貴様の堕天使の力でな。」
「ふざけるな。力は魔王に封印されている。」
レオナはアデルを睨む。
「そうだったな。羽根をもがれた大天使が辿る運命は死ぬだけか。」
「死なせない。」
レオナはシャロンを抱き起こし、自分の唇を歯で傷つけて血をシャロンの口に飲ませる様に滴らせる。
シャロンがレオナの血を飲むと、羽根のあった背中の傷は瞬く間に消えて、シャロンは目を覚ます。
「レオナ……様。」
「ごめん、シャロン。お前を助ける手段がこれしかなくて……。」
レオナは魔界へ来て初めて心から涙を流した。
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