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暁の星と月
第7章 愛と哀しみの円舞曲

暁は耳を疑った。
「…え…?こ、婚約解消…て…」
礼也は、普段と変わらない落ち着いた態度と表情で答える。
「…梨央さんとはもう結婚することはないということだ。…私は今まで通りの後見人の立場に戻ったのだよ」
「ど、どうしてですか⁈だ、だって…兄さんはあんなに梨央さんを愛していたのに!なにがあったんですか⁈」
矢継ぎ早に質問する暁に、礼也は穏やかに口を開いた。
「…梨央さんのことは、今も愛しているよ」
「だったらなぜ…⁈まさか…梨央さんが言い出されたのですか?」
暁は今までにないほど気色ばんだ。
「いや。…私が言い出したことだ」
「⁈」
「梨央さんをこれ以上、苦しめたくなくてね」
訳が分からない。
礼也は梨央を今も愛しているというのに…。
なぜ、その礼也が自ら婚約解消を言い出したのか…。
いつもと変わらぬ穏やかな礼也の声が響く。
「…梨央さんに愛する方ができたのだ」
「…え⁈…そ、それは…」
一体誰なのか?
暁は想いを巡らす。
すぐに頭に浮かんだのは、執事の月城だった。
だが、その後すぐに礼也の口から出てきたのは意外すぎる人の名前だった。
「…ここだけの話にしてくれ。これは私とお前だけの秘密だ」
「はい、勿論です」
「…梨央さんは綾香さんを愛しているのだ。…綾香さんもまた、梨央さんを心から愛している。…二人は相思相愛の仲だとわかったので、私は潔く身を引いたのだ」
「…え⁉︎」
暁は二の句を告げなかった。
…綾香さんとは、最近、北白川伯爵家に引き取られた梨央さんの腹違いの姉のはず…。
その綾香さんと、梨央さんが愛し合っているなど…
つまりは…二人は…
暁の声が震えだした。
「…綾香さんと梨央さんは…同性同士で愛し合われているということですか…?」
「そうだ。お二人は姉妹で愛し合われているのだ」
暁の中で何かが弾けだした。
「…そんな…」
…姉妹で愛し合う?
同性で…しかも血が繋がっている同士で…。
…僕がしたくてもできないことを、梨央さんはやってのけたのか?
その結果、兄さんは婚約解消をして、身を引いたというのか?
自分でも訳が分からない理不尽な感情が頭の中を駆け巡る。
「…酷いです…」
言葉が無意識に溢れ出す。
「梨央さんは酷いです。…そんな…血を分けたお姉様と愛し合い、ずっと梨央さんを護ってきた兄さんに身を引かせるなんて…!梨央さんは酷い人です!許せない!」
「…え…?こ、婚約解消…て…」
礼也は、普段と変わらない落ち着いた態度と表情で答える。
「…梨央さんとはもう結婚することはないということだ。…私は今まで通りの後見人の立場に戻ったのだよ」
「ど、どうしてですか⁈だ、だって…兄さんはあんなに梨央さんを愛していたのに!なにがあったんですか⁈」
矢継ぎ早に質問する暁に、礼也は穏やかに口を開いた。
「…梨央さんのことは、今も愛しているよ」
「だったらなぜ…⁈まさか…梨央さんが言い出されたのですか?」
暁は今までにないほど気色ばんだ。
「いや。…私が言い出したことだ」
「⁈」
「梨央さんをこれ以上、苦しめたくなくてね」
訳が分からない。
礼也は梨央を今も愛しているというのに…。
なぜ、その礼也が自ら婚約解消を言い出したのか…。
いつもと変わらぬ穏やかな礼也の声が響く。
「…梨央さんに愛する方ができたのだ」
「…え⁈…そ、それは…」
一体誰なのか?
暁は想いを巡らす。
すぐに頭に浮かんだのは、執事の月城だった。
だが、その後すぐに礼也の口から出てきたのは意外すぎる人の名前だった。
「…ここだけの話にしてくれ。これは私とお前だけの秘密だ」
「はい、勿論です」
「…梨央さんは綾香さんを愛しているのだ。…綾香さんもまた、梨央さんを心から愛している。…二人は相思相愛の仲だとわかったので、私は潔く身を引いたのだ」
「…え⁉︎」
暁は二の句を告げなかった。
…綾香さんとは、最近、北白川伯爵家に引き取られた梨央さんの腹違いの姉のはず…。
その綾香さんと、梨央さんが愛し合っているなど…
つまりは…二人は…
暁の声が震えだした。
「…綾香さんと梨央さんは…同性同士で愛し合われているということですか…?」
「そうだ。お二人は姉妹で愛し合われているのだ」
暁の中で何かが弾けだした。
「…そんな…」
…姉妹で愛し合う?
同性で…しかも血が繋がっている同士で…。
…僕がしたくてもできないことを、梨央さんはやってのけたのか?
その結果、兄さんは婚約解消をして、身を引いたというのか?
自分でも訳が分からない理不尽な感情が頭の中を駆け巡る。
「…酷いです…」
言葉が無意識に溢れ出す。
「梨央さんは酷いです。…そんな…血を分けたお姉様と愛し合い、ずっと梨央さんを護ってきた兄さんに身を引かせるなんて…!梨央さんは酷い人です!許せない!」

