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暁の星と月
第7章 愛と哀しみの円舞曲
…暁は満月のもと、温室に向った。
ランプを手に深夜の温室の小径を歩く。
ほの明るい琥珀色の光が暁の前を照らす。
…ここは季節は関係なく、一年中天国のように色とりどりの花々が咲き乱れ、暁を迎えてくれる。
…以前にもこんなことがあった。
既視感が暁を襲う。
あの時は…
…春馬さんが僕の手を引き、導いてくれたのだ。
…「今日の勉強は温室でしよう…暁くん」
美しい男は笑顔で振り返る。
月明かりが差し込む硝子張りの温室で…
春馬さんは蓄音機のレコードに針を落とした。
…暁もその想い出をなぞる。
静寂に包まれた蒸せ返る花の香気の中、ヨハン・シュトラウスが流れる。
…美しき青きドナウ…
初めて聴いた時は、自分がお伽話のお城の舞踏会にいるような高揚した気分になったものだ。
…春馬さんが優しく手を差し伸べた。
「…踊ろう、暁くん…」
巧みにリードされ、暁の身体は滑らかに動く…。
…想い出をなぞりながら、暁は目を閉じて一人でワルツを踊る…。
暁のテイルコートの裾が夢のように舞う。
…青白い月の光を浴びながら、二人で踊った…。
夢のような時間だった…。
石畳みに躓いた暁が大紋の胸に飛び込み、そのまま抱き寄せられた…。
…君が好きだ…。
男が暁を狂おしく抱きしめる。
…まだ、初恋も知らなかった…。
けれどきっと、この男を好きになる…。
…そんな予感を感じながら、暁は男の胸で目を閉じた。
…過ぎた日は二度と帰らない…。
暁は月の光に抱かれながら、踊り続ける。
月明かりが暁の白い頬を流れる涙を、水晶のように照らした。
…愛していました…
誰よりも…
あの言葉は、彼の人に届いただろうか…。
…僕の恋人…
もう二度と、帰らない愛の日々…。
暁のしなやかな腕が、大紋への想いを愛おしむように、空を抱く。
暁は花の香りに優しく抱かれながら、いつまでも惜別のワルツを踊り続けた…。
ランプを手に深夜の温室の小径を歩く。
ほの明るい琥珀色の光が暁の前を照らす。
…ここは季節は関係なく、一年中天国のように色とりどりの花々が咲き乱れ、暁を迎えてくれる。
…以前にもこんなことがあった。
既視感が暁を襲う。
あの時は…
…春馬さんが僕の手を引き、導いてくれたのだ。
…「今日の勉強は温室でしよう…暁くん」
美しい男は笑顔で振り返る。
月明かりが差し込む硝子張りの温室で…
春馬さんは蓄音機のレコードに針を落とした。
…暁もその想い出をなぞる。
静寂に包まれた蒸せ返る花の香気の中、ヨハン・シュトラウスが流れる。
…美しき青きドナウ…
初めて聴いた時は、自分がお伽話のお城の舞踏会にいるような高揚した気分になったものだ。
…春馬さんが優しく手を差し伸べた。
「…踊ろう、暁くん…」
巧みにリードされ、暁の身体は滑らかに動く…。
…想い出をなぞりながら、暁は目を閉じて一人でワルツを踊る…。
暁のテイルコートの裾が夢のように舞う。
…青白い月の光を浴びながら、二人で踊った…。
夢のような時間だった…。
石畳みに躓いた暁が大紋の胸に飛び込み、そのまま抱き寄せられた…。
…君が好きだ…。
男が暁を狂おしく抱きしめる。
…まだ、初恋も知らなかった…。
けれどきっと、この男を好きになる…。
…そんな予感を感じながら、暁は男の胸で目を閉じた。
…過ぎた日は二度と帰らない…。
暁は月の光に抱かれながら、踊り続ける。
月明かりが暁の白い頬を流れる涙を、水晶のように照らした。
…愛していました…
誰よりも…
あの言葉は、彼の人に届いただろうか…。
…僕の恋人…
もう二度と、帰らない愛の日々…。
暁のしなやかな腕が、大紋への想いを愛おしむように、空を抱く。
暁は花の香りに優しく抱かれながら、いつまでも惜別のワルツを踊り続けた…。