この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
暁の星と月
第3章 暁の天の河
「…アルフレッド、もう一回だ」
暁が馬に優しく声をかけると、アルフレッドは嬉しそうに嘶き、少し上げた障害物のポール目掛けて駆け出した。
馬場馬術をメインにしていた暁にとって障害馬術の練習は始めたばかりだが、馬上の人より慣れているアルフレッドは軽々とまるでペガサスのごとく跳んで行く。

「偉いぞ、アルフレッド!いい子だね」
暁はアルフレッドの鼻面を撫でてやる。
近くを練習していた馬術部の友人が馬に跨りながら駆け寄る。
「縣はさすがだな。障害物にももう慣れたのか」
感心したように首を振る。
「僕の力じゃないよ。アルフレッドのお陰だ」
恥ずかしそうに答える暁の顔に初夏の光が照らされ、類稀な美貌が光を放つかのように輝いた。
暁の顔を間近に見て、友人は少しどぎまぎする。
「君の兄さんの馬だっけ?」
「そう…。誕生日に兄さんの愛馬を譲ってもらったんだ。
アルフレッドは国体にも出た障害馬術に強い優秀な馬だから、きっと良いパートナーになるだろうって…」
友人は溜息をつく。
「縣には理解ある優しい兄さんがいて羨ましいよ。僕のところなんか横暴な兄貴しかいないんだぜ。
家では偉そうに命令ばかり。もううんざりだ」
暁は少し誇らしげに微笑んだ。

…暁は17歳になった。
星南学院の高等部の二年生だ。
学業はトップクラス、編入後すぐに始めた馬術もめきめき頭角を現し、この秋の国体出場を目指している。
優しく穏やかで、賢いがひけらかさない思慮深い性格から友人も多い。
…なにより男子ばかりの学院の中で、一際光り輝くような優美な美貌とどこか艶めいた容姿は群を抜いており、
「星南の縣」と言えば、近隣の学校でも知らぬ生徒はいないほど、有名な美貌の男子高校生であった。

「まだ練習するのか?縣は熱心だな」
「もう一駆してから帰…」
ふと、周りを見渡した暁の美しい切れ長の瞳が、大きく見開かれる。
「どうした?縣…」
友人が尋ねるのも耳に入らないといった様子で、暁は馬場の柵に腕をもたれかかり、こちらを見学している2人の青年に向って小さく叫んだ。
「兄さん…!」
暁は鐙を軽く蹴り、颯爽と馬場を駆け抜ける。
大好きな兄…礼也の元へ…。

礼也はこちらに向かってくる暁を認めると、手を挙げて微笑んだ。
隣にいるのは…兄の親友、大紋だ。
大好きな2人の元へ…暁は弾けるような笑顔で巧みに馬を操り、駆けてゆくのだった。
/479ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ