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暁の星と月
第3章 暁の天の河
礼也は一つ二つ端的に暁に馬術の助言をすると、まるで14歳の頃の暁に言うように
「さあ、シャワーを浴びて着替えて来なさい。そのままだと風邪を引く」
と気遣う。
そして、アルフレッドの鼻先を撫でながら笑顔で付け加えた。
「久しぶりに三人で食事をしよう。帝国ホテルのダイニングを予約してある。…暁は制服なら構わないだろう」
暁は嬉しさに頬を桜色に染める。
「本当に?…すぐに着替えて来ます。待っていてくださいね。大紋さんも…」
大紋は優しく頷く。

鐙を軽く蹴ると馬首を取って返し、見る見る間に疾走してゆく暁を見送る。
「…大きくなったな…暁くんは。…また一段と美しくなった…」
独り言のような大紋の言葉を礼也は素直に肯定する。
「全くだ。元々とても美しい子だったが、更に整って来たし…何より雰囲気や所作が洗練されて気品が漂うようになった。私の厳しい礼儀作法や言葉遣いの教えにも嫌な顔もせず素直に付いて来てくれたからな…」
礼也は暁を優しく甘やかすだけではなかった。
むしろ、礼儀作法やマナー、言葉遣いや社交術に関しては大紋から見ても厳しすぎるほど厳しく、暁にスパルタ教育を強いた。
マナーがなっていない時には、何度でもやり直しをさせ、身体に叩き込んだ。
それは暁の出自が庶子と言うことで、社交界に出た時に暁が嫌な目に合わないように、誰からも後ろ指を刺されないように完璧な貴公子に育成する為であった。

その事を暁は誰よりも判っていた。
だから礼也の教えに食らいつき、血の滲むような努力を繰り返し、貧しい長屋暮らしの無学な少年から、今日のような生まれながらの貴族の子弟のような美しく気品に満ちた若者へと成長したのだ。
「礼也は兄馬鹿だが、スパルタだもんな。…側で見ていて可哀想になったこともあったよ」
暁が厩舎に入ったのを遠目で確認し、礼也は穏やかに告げる。
「…甘やかすのだけが愛情ではない。生まれは変えられない。だから周りの人々に何も言わせないだけの教育と教養と品位を早く身につけさせたかったんだ。…炭鉱夫上がりの私の祖父は、自分の育ちに強いコンプレックスを持っていた。だから私に幼い頃から帝王学を学ばせ、常に紳士たれと叩き込んだ。
…今、私は祖父に感謝しているよ。こうして暁をきちんと育てることが出来たからね」
大紋は今更ながらに礼也の暁に対する深い愛情に驚かされるのであった。





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