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暁の星と月
第12章 堕天使の涙
「…暁、暁…」
…礼也の切羽詰まった声が聞こえる。
…兄さんだ…。
なぜ、僕を呼んでいるのだろう…。
靄がかかったような意識の中で、ぼんやり考える。
「…暁さん…暁さん…」
…あの声は…光さんだ。
…光さんが、なぜ…?

その瞬間、まるで魔法のようにはっと意識が戻った。
…光さん…!
僕と階段から落ちて…それから…それから…
…どうなったのだろう…。

暁はゆっくりと瞼を開いた。
…暁は病室らしき場所でベッドに寝かされていた。
そこには暁の貌を不安げに覗き込む礼也と光の姿があった。
暁が目を覚ましたのを見て、二人は待ち兼ねたように声をかける。
「暁!気がついたか!」
「暁さん!大丈夫⁉︎」

暁は、掠れる声で尋ねる。
「…光さん…光さんは…?大丈夫ですか…?」
光はその場に座り込み、暁の手を握りしめた。
「…大丈夫よ…暁さん…」
「…お腹の…赤ちゃんは…無事ですか…?」
その言葉を聞いた途端、光は大きな瞳からぽろぽろと涙を零した。
「…無事よ…。暁さんのお陰よ…。私もお腹の赤ちゃんも…大丈夫…。
貴方が私を庇ってくれたから…ありがとう…」
そして、
「…ごめんなさい…私の為に怪我をしてしまって…」
と暁の手を握りしめ、涙を流す光に暁は居たたまれなくなる。
「…そんな…謝らないでください…」
…光さんに謝られる資格なんかないのだ…と、暁は罪悪感に苛まれる。
礼也が暁を見つめ、頭を下げる。
「…暁、ありがとう。お前が光さんを庇ってくれなかったら、今頃どうなっていたか…。心から、感謝するよ」
兄の熱い言葉が追い打ちをかける。
暁は首を振る。
「…そんな…僕は…」
…光さんを突き落とそうとしたんです…
恐ろしい言葉を飲み込む。
礼也は安堵感から、暁の細かい表情に気づかない。
暁の髪を優しく撫でながら説明する。
「幸いお前も軽い打撲と脳震盪を起こしただけだったよ。
念のため、今夜はここに入院して大事を取るようにとの医師の説明があった」
「…そうですか…。ご心配をおかけしました…」
光は依然として涙を流していた。
その様はまるで頼りなげな少女のようだった。
暁は二人に笑いかける。
「僕はもう大丈夫です。病院に長時間は光さんのお身体に良くない…。兄さん、光さんと家に帰ってください」
光は首を振る。
「でも…!」
「本当に大丈夫です。光さん、家でゆっくり休んでください」





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