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暁の星と月
第12章 堕天使の涙
月城は病室のドアを静かに閉め、廊下に足を踏み出したところで、眼を見張った。
薄暗い廊下の壁に、腕組みをした大紋春馬が凭れかかっていたのだ。
大紋は手に大きな白い薔薇の花束を持っていた。
「…大紋様…!」
小さく叫んだ月城に視線を移すと、理知的だが穏やかな表情で頷いた。
「…少し、話せるか…?」
「はい…」
大紋は洗練された仕草で月城を促し、廊下の端の待合室へと導いた。
月城はやや緊張した面持ちで表情を引き締めると、大紋の後に従った。