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暁の星と月
第12章 堕天使の涙
「暁さん、本当に大丈夫?」
退院した暁に、光はずっと付きっきりだ。
横になったほうがいいのではないか、お腹は空いていないか、何か飲むかとまるで母親のように甲斐甲斐しく世話を焼く。
暁は苦笑しながらも、光を気遣う。
「僕は本当に大丈夫です。…それより光さんは大丈夫ですか?」
いくら自分が庇ったとはいえ、大階段の頂上から落ちたのだ。
どこか怪我でもしてないか、お腹の子どもに異常はないのか、暁は心配でならなかった。
光は元気に笑った。
「大丈夫よ。念のため、今朝も主治医の先生に診ていただいたのだけれど、何の異常もないって…。
それより、お転婆が過ぎたんでしょうと叱られたわ」
「…良かった…」
暁は安堵の息を吐く。
光を突き落とそうとした魔の瞬間を持ってしまったことは暁の胸にまだ小さな棘として残っている。
だからせめて、光とお腹の子どもが元気でいてくれることが救いだった。
光は部屋に入ろうとする暁に声をかけた。
「…暁さん、ちょっといいかしら?…暁さんに聞いて欲しいことがあるの」
振り返ると光の真っ直ぐな大きな瞳と眼が合った。
「…はい」
暁は頷いた。
退院した暁に、光はずっと付きっきりだ。
横になったほうがいいのではないか、お腹は空いていないか、何か飲むかとまるで母親のように甲斐甲斐しく世話を焼く。
暁は苦笑しながらも、光を気遣う。
「僕は本当に大丈夫です。…それより光さんは大丈夫ですか?」
いくら自分が庇ったとはいえ、大階段の頂上から落ちたのだ。
どこか怪我でもしてないか、お腹の子どもに異常はないのか、暁は心配でならなかった。
光は元気に笑った。
「大丈夫よ。念のため、今朝も主治医の先生に診ていただいたのだけれど、何の異常もないって…。
それより、お転婆が過ぎたんでしょうと叱られたわ」
「…良かった…」
暁は安堵の息を吐く。
光を突き落とそうとした魔の瞬間を持ってしまったことは暁の胸にまだ小さな棘として残っている。
だからせめて、光とお腹の子どもが元気でいてくれることが救いだった。
光は部屋に入ろうとする暁に声をかけた。
「…暁さん、ちょっといいかしら?…暁さんに聞いて欲しいことがあるの」
振り返ると光の真っ直ぐな大きな瞳と眼が合った。
「…はい」
暁は頷いた。