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暁の星と月
第3章 暁の天の河
「…そうか…。男爵も暁のことを大切に思われているんだな」
暁の話を聞いて、大紋はほっとしたような顔をした。
そんな大紋の優しさが暁には嬉しい。
「はい。縣のお父様は年に一度くらいしかお帰りにならないのですが、アメリカからのお土産を山ほどお持ちくださったり…。優しい方です」
「男爵はボストンに別宅を構えられて…まだまだ艶福家らしいが、そんな豪放磊落なところは礼也のお祖父様に似ているな」
一介の炭鉱夫から今の縣財閥の礎を築き、巨万の富を築いた礼也の祖父…
軍需産業を成功させその功績が認められ、男爵という爵位を賜った遣り手の父…
その息子はその二人から英才教育を受け、産まれながらの名門貴族の御曹司のように洗練され、品位を備えた青年へと成長した。
大紋は礼也とは帝大に入ってから親しくなったが、それ以前から社交界や馬場では度々見かけていたし、話したこともあった。
堂々とした長身の体躯、華やかで、それでいて品位に満ちた美貌、成績優秀で理知的だが、それをひけらかすことなく階級問わず優しく親切に接する紳士…。
礼也の周りには常に彼に憧れる若い令嬢や淑女が群がっていた。
礼也は10代の頃から縁談が降るようにある社交界きっての人気の貴公子であったのだ。
大紋にとり、縣礼也は良き親友であり、良きライバルであった。
…その思いが一層強くなったのは…礼也が暁という腹違いの弟を屋敷に引き取り、その彼と対面してからであった。
屋敷に来たばかりの暁は、まだまだ垢抜けない様子であったが、眼を見張るほどに美しく儚げで…大紋は心臓を鷲掴みにされた。
一目惚れという言葉を大紋は信用したことはなかったのに暁を見た瞬間、それは図らずも崩れ去った。
それからは、暁を影になり日向になり見護り、ずっと愛し続けてきたのだ。
…辛抱強く待ち続けた。
暁が密かに実の兄、礼也を慕っていることも知っていた。
だが、大紋は諦めなかった。
暁に代わるような稀有な美しい人には出会うことができなかったからだ。
…そして漸く暁を手に入れることが出来た…。
昨夜の暁の淫らなのに光り輝く如く美しい姿を、大紋は決して忘れないだろうと、思った。
まだ、身体の全てを奪った訳ではない。
優しく暁の身体と心を慣らし、自分に傾倒させてから我が物にしたいのだ。
青い果実を無理やり摘み取り、散らすことは大紋の本意ではなかった。
…だが、今夜は…
暁の話を聞いて、大紋はほっとしたような顔をした。
そんな大紋の優しさが暁には嬉しい。
「はい。縣のお父様は年に一度くらいしかお帰りにならないのですが、アメリカからのお土産を山ほどお持ちくださったり…。優しい方です」
「男爵はボストンに別宅を構えられて…まだまだ艶福家らしいが、そんな豪放磊落なところは礼也のお祖父様に似ているな」
一介の炭鉱夫から今の縣財閥の礎を築き、巨万の富を築いた礼也の祖父…
軍需産業を成功させその功績が認められ、男爵という爵位を賜った遣り手の父…
その息子はその二人から英才教育を受け、産まれながらの名門貴族の御曹司のように洗練され、品位を備えた青年へと成長した。
大紋は礼也とは帝大に入ってから親しくなったが、それ以前から社交界や馬場では度々見かけていたし、話したこともあった。
堂々とした長身の体躯、華やかで、それでいて品位に満ちた美貌、成績優秀で理知的だが、それをひけらかすことなく階級問わず優しく親切に接する紳士…。
礼也の周りには常に彼に憧れる若い令嬢や淑女が群がっていた。
礼也は10代の頃から縁談が降るようにある社交界きっての人気の貴公子であったのだ。
大紋にとり、縣礼也は良き親友であり、良きライバルであった。
…その思いが一層強くなったのは…礼也が暁という腹違いの弟を屋敷に引き取り、その彼と対面してからであった。
屋敷に来たばかりの暁は、まだまだ垢抜けない様子であったが、眼を見張るほどに美しく儚げで…大紋は心臓を鷲掴みにされた。
一目惚れという言葉を大紋は信用したことはなかったのに暁を見た瞬間、それは図らずも崩れ去った。
それからは、暁を影になり日向になり見護り、ずっと愛し続けてきたのだ。
…辛抱強く待ち続けた。
暁が密かに実の兄、礼也を慕っていることも知っていた。
だが、大紋は諦めなかった。
暁に代わるような稀有な美しい人には出会うことができなかったからだ。
…そして漸く暁を手に入れることが出来た…。
昨夜の暁の淫らなのに光り輝く如く美しい姿を、大紋は決して忘れないだろうと、思った。
まだ、身体の全てを奪った訳ではない。
優しく暁の身体と心を慣らし、自分に傾倒させてから我が物にしたいのだ。
青い果実を無理やり摘み取り、散らすことは大紋の本意ではなかった。
…だが、今夜は…